工作 黒金星(ブラック・ビーナス)と呼ばれた男
―2019年公開 韓 137分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:釜日映画賞最優秀作品賞をはじめ韓国の映画賞を総なめした、事実に基づく歴史ドラマ。1992年、北朝鮮の核開発の実態調査のため、軍人のパクは工作員として北に潜入せよと命じられる。3年の工作活動の末、対外交渉の責任者であるリ所長に接触するが……。出演は、「哭声/コクソン」のファン・ジョンミン、「リアル」のイ・ソンミン、「お嬢さん」のチョ・ジヌン、「背徳の王宮」のチュ・ジフン。監督は、「群盗」のユン・ジョンビン。第71回カンヌ国際映画祭ミッドナイトスクリーニング公式招待作品。(KINENOTE)
あらすじ:1992年、将校だったパク・ソギョン(ファン・ジョンミン)は、国家安全企画部のチェ・ハクソン室長(チョ・ジヌン)からの指令で、北朝鮮の核兵器開発の実態を探る韓国のスパイとして北へ潜入することに。北京に駐在する対外経済委員会の所長リ・ミョンウン(イ・ソンンミン)に、実業家になりすまして接触するよう命じられたパクは、チェ室長から“黒金星(ブラック・ヴィーナス)”というコードネームを与えられる。1995年3月、パクが北京で対外経済委員会に近い人物と接触して半年が過ぎたころ、委員会が急遽現金を必要とする事態に陥り、金持ちの実業家としてマークされていたパクにリ所長本人から連絡が入る。食堂に呼び出されたパクは、現金の他に南の情報を渡すよう持ち掛けられる。次の会合では、リ所長の傍らにいた国家安全保衛部のチョン・ムテク課長(チュ・ジフン)が軍事機密を要求してくる。パクはスパイになる気はないと拒絶するが、南の企業と取引をしたいリ所長がたしなめ、改めてミレニアムホテルで会食することに。パクは北での広告撮影を提案し、所長はピョンヤンに掛け合い3日で結論を出すと約束する。そのころ、総選挙を控えた韓国では、野党の金大中が政界に復帰して人気を集め、現政権を脅かしていた。総選挙6日前の1996年4月5日、北朝鮮から韓国への武力挑発が勃発。国民は保守的な心理に傾き、金大中率いる野党は全国区で敗れる。そんななか、リ所長はパクに、金正日が会いたがっているのでピョンヤンに来るよう伝える。4月27日、北に到着したパクはホテルに連れて行かれ、健康状態の精密検査と偽り自白剤を使った尋問を受ける。パクは最難関も突破して金正日と面会し、広告事業の展開を許されると、撮影を隠れ蓑に核の実態調査を進める。だが、1997年、大統領選に立候補した金大中が支持率1位を獲得する。金大中当選を阻止したい祖国と、北朝鮮の間の裏取引により、自分の工作活動が無になることを知ったパクは、リ所長に危険な冒険を持ち掛ける……。(KINENOTE)
監督:ユン・ジョンビン
出演:ファン・ジョンミン/イ・ソンミン/チョ・ジヌン/チュ・ジフン/キ・ジュボン
ネタバレ感想
金大中が大統領になった裏で、こういう出来事があったって全然知らなかった。これ、ほんと酷い話だよなぁ。もともとの理念とは別に、保身やそこに属する人間たちの利益のために動いちゃう組織ってかなり迷惑で、しかもそういう奴らってだいたい頭が良いので悪知恵働くし組織内の倫理観に汚染されすぎて客観的なもののの見方ができなくなって悪さを平然とできるようになるし、それに対する罪の意識も薄い。糞過ぎる。
この話はそうした組織のやり方に疑問を持ち、本来の祖国愛に基づいて行動した男たちの友情物語になっていく。非常におもしろいうえに勉強にもなる、かなり高水準な作品。だけど、他に書きたい感想はない(笑)。
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