顔のないスパイ
ラストまで謎めいた感じでグイグイ引っ張ってくれるのはいいんだけど、何か辻褄が合わないというか、登場人物たちの動きがきちんと説明されていないような気がする部分があって、スッキリしない作品だった。なので、その辺のところを書きながら考えつつ、結局はカシウスはいったい何を狙っていたのかという考察を試みる。ネタバレあり。
―2012年公開 米 98分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:すでに死亡したと思われていたソビエトの伝説のスパイ“カシウス”の謎を追う元諜報員の姿を描くサスペンス・アクション。監督は「WANTED ウォンテッド」の脚本を手がけたマイケル・ブラント。出演は「アメリア 永遠の翼」のリチャード・ギア、「プレデターズ」のトファー・グレイス、「ボーダータウン 報道されない殺人者」のマーティン・シーン。(KINENOTE)
あらすじ:メキシコ、アメリカに隣接するソノーラ砂漠。国境警備員を殺害し、アメリカに渡ろうとする一団がいた――。6ケ月後、ワシントンで、ロシアと密接な関係を持つダーデン上院議員が暗殺、その手口から浮かび上がったのは、死んだはずのソビエトの伝説のスパイ“カシウス”の痕跡だった。CIA長官ハイランド(マーティン・シーン)は、カシウスをリーダーとする暗殺集団“カシウス7”の追跡にキャリアを捧げ、今は引退した元エージェントのポール・シェファーソン(リチャード・ギア)を呼び戻し、議員を内偵していたFBIの若手捜査官ベン・ギアリー(トファー・グレイス)と共に事件解決にあたらせる。ポールは、すでにカシウスは死亡、議員殺害も模倣犯によるものと考えていたが、渋々捜査に協力。一方、カシウスに魅せられ、大学で彼についての修士論文も書いているベンは、カシウスが殺しを復活させたと確信する。そんな中、2人はかつてポールが射殺したはずの“カシウス7”の一人、ブルータス(スティーヴン・モイヤー)がまだ獄中で生きていることを知る。ポールは、カシウスの死を証明するため、ベンを連れ刑務所へ赴くが、ブルータスから、暗殺者の掟を破ったため、カシウスにはある“罰”が下されたことを聞かされる。そして2人が帰った直後、情報と引き換えに入手したラジオの電池を飲み込み病院へ運ばれたブルータスは、見事脱走に成功。だがカシウスを名乗る男に捕まり惨殺される。現場にはポールの姿があった……。カシウスの魔の手は、ベンにも伸びていた。家族のいないポールは、自分と違い守るべき者がいるベンに捜査から外れるよう命じるが、カシウス逮捕にこだわるベンは全く聞く耳を持たない。そんな中、半年前の国境警備員殺害事件の際に奪われた車が発見される。監視カメラに映っていたのは、元特殊部隊でKGBのボズロスキー(テイマー・ハッサン)の姿だった。彼とカシウスが同じ時期に表舞台から姿を消し、20年後に再び出現したことから、本部ではカシウス=ボズロスキーの線で捜査が進められていく。しかしベンは、過去の事件の検証から、カシウスの真の正体に気づく。一方、ポールも最後の落とし前をつけるため、ボズロスキーの元へ向かっていた……。(KINENOTE)
監督:マイケル・ブラント
出演:リチャード・ギア/トファー・グレイス/マーティン・シーン
ネタバレ考察
カシウスの正体が判明して以降
主人公のベンとポールには、それぞれ秘密があってーーという展開はよい。ポールがカシウスであることは中盤までに判明。だから鑑賞者のそれ以降の興味は、なぜ彼はカシウスになったのか、そしてなぜ、姿を隠すことにしたのかーーとなる。
謎の解消を期待して観続けていると、もう一つ新たな展開が。それは、ベンがロシア側のスパイだとわかること。おぉ、マジか。と思いました。そして、いろいろあって、ベンとポールは利害が一致して、ポズロスキーがカシウスだったという偽装をして始末するために共闘する。で、あのラスト。
カシウスがなぜ姿を隠したのかはわかった。結婚して子づくりまでしちゃってたから。それは、カシウス7という組織の掟に反するから。掟違反は死をもって償うことになるので、カシウスはそれを避けるために組織を抜けようとするんだが、その前に妻子を殺されてまうのである。そして彼は失意の中で、殺される前にやってまおうと(たぶん)、カシウス7のメンバーたちを殺しにかかるのであった。
カシウスは何でカシウス7を組織したの?
ーーということだと思うんだけど、何かおかしくないかと思うのである。ボズロスキーをカシウスが殺したいのはそれでいい。妻子を殺した張本人だから。しかし、彼はカシウス7のメンバーではないので、おそらくはカシウス7の誰かから殺しを依頼されたんだと思われる。
ポールはCIA所属だ
それもそれでいい。いいんだけど、そもそもカシウス7って、カシウスがつくった組織らしい。だとすると、彼は何のためにそんなことしたんだ? だって彼の所属はCIAじゃん。ポール(カシウス)はパリのCIAにいた頃から、カシウスを捕まえる材料が云々てな話を、ハイランド(マーティン・シーン)にしている。
カシウス(ポール)はロシア側の人間だったのだ
いろんなネタバレあらすじサイトを観ても、詳しい説明がなくて、よくわからんかった。スッキリしないので、ウィキペディアを調べたところ、ようやくわかった。カシウス=ポールは、もともとロシア側の人間だったのだ。
で、さっき俺が書いた、「ポール(カシウス)はパリのCIAにいたころ」というのは間違いで、あれはCIAに入るため、ハイランドに対してポールが売り込みをかけていたシーンだったのだ。なんで彼がCIAに入りたいかというと、妻子を殺したカシウス7含むロシア側の人間たちを殺すため。
俺はポールがずっとCIAの人間で、カシウスを追い続けていた中での、あのパリでの描写なのかと思っていたので、スッキリ理解できずにラストを迎えていたのである。
俺の単なる勘違い
--ということは、他の人はみんな一回観ただけで、ポールはもともとロシア側の人間だと理解できてたわけだな。すごい。というよりは、俺がポンコツ頭なんだろう。俺はこのブログの記事でしょっちゅう、見逃しているシーンがあることを、記事を閲覧してくれた人から指摘してもらうことがある。この作品においても自分のボンクラさのせいでスッキリ楽しめなかったということが、こうして記事にしたことで判明した(笑)。つまり、この記事はほかの人の役には立たないだろう。
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