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映画 ソイレントグリーン ネタバレ感想 家具と食糧

ソイレントグリーン
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ソイレント・グリーン

食糧難によってディストピア化した世界で、ある殺人事件を捜査していた刑事が、政府が配給する食料に秘密があることを突き止めていく。今となっては未来感は薄いが、描かれている内容は現代にも通じるところのあるSF作品。ネタバレあり。

―1973年公開 米 97分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:2022年、今から約50年後のニューヨークには人口が膨大したことによって食糧難が起こっていた。人々は1週間に1度、政府が配給する「ソイレント・グリーン」と呼ばれるウェーフェース状の食料で命を継いでいたが……。原題のソイレント・グリーンとはSOY(大豆)とLENTIL(レンズ豆)を合成した言葉でアメリカのSF作家ハリー・ハリソンの小説の映画化。製作はウォルター・セルツァーとラッセル・サッチャー、監督は「センチュリアン」のリチャード・フライシャー、脚色はスタンリー・R・グリーンバーグ、撮影はリチャード・H・クライン、音楽はフレッド・マイロー、編集はサミュエル・E・ビートリーが各々担当。出演はチャールストン・ヘストン、リー・テイラー・ヤング、これが遺作となったエドワード・G・ロビンソン、チャック・コナーズ、ジョセフ・コットン、ブロック・ピーターズ、スティーブン・ヤング、マイク・ヘンリーなど。(KINENOTE)

あらすじ:2022年のニューヨーク。ここも地球上の全ての土地と同様、人口過剰と食料不足にあえいでおり、ごく1部の裕福な人を除き、4000万市民の大部分は週1回配給される食品を食べて細々と生きている。この食料はソイレント会社が、海のプランクトンから作っていたがすでにそのプランクトンさえ激減していた。最近、同社は「ソイレント・グリーン」という新しい製品を発表したが、品不足から配給が思うようにいかず、仕事も家もない何百万市民の不平不満は、一発触発の暴動の危機をはらんでいた。彼らに比べれば、市警察殺人課の刑事ソーン(チャールトン・ヘストン)は、職があるだけによほどましな暮らしである。むさくるしいが2階屋のアパートに老人のソル・ロス(エドワード・G・ロビンソン)と住んでいる。ソルはいわばソーンの人間ブックで、事件の背景を調べ、ソーンの捜査を助けている。ソーンは、ソイレント会社の幹部の1人ウィリアム・サイモン(ジョセフ・コットン)が自宅で惨殺された事件を担当することになった。彼にはボディー・ガードのタブ(チャック・コナーズ)と、「ファーニチャー」と呼ばれ、家具の1つとして配置されている女たちの1人、シャール(リー・テイラー・ヤング)が付ききりだったが、あいにくその2人は買い物にでかけ留守だった。タブは物盗りの仕業というが周到な計画殺人であることが、ソーンにはすぐに判った。その後、何度かシャールと接するうちに2人は愛し合うようになった。一方、ソルの調査から事件の背後に大物の手が動いていることを知ったソーンが、捜査に本腰を入れようとした矢先、上司のハッチャー(ブロック・ピーターズ)から捜査を打ち切るよう圧力をかけられた。頑として拒否するが、たちまち臨時に狩りだされ、ソイレント・グリーン配給の警備に廻されてしまう。そこには、少ない配給量に対する市民の怒りに火をつけ、暴動のどさくさに紛れてソーンを消そうとする殺し屋が待ち受けていた。ソーンは足を射たれるが殺し屋も誤って暴動鎮圧用シャベルに押しつぶされてしまう。一方、ソルはブック仲間の集まりでサイモン殺人事件の動機となったソイレント社の秘密を知りショックを受ける。彼は現実のあまりの厳しさに絶望し、安楽死させてくれる「ホーム」に向かう。そのことを知ったソーンは「ホーム」に駆け込むが間に合わず、老人の孤独な臨終を痛恨の思いで見とるばかりあった。だが、息を引き取る直前にソイレント・グリーンの秘密を明かされ愕然とする。新製品のソイレント・グリーンが人肉だったとは・・・。その帰り道、タブと数名の男たちに襲撃され、激しい射ち合いになったが、折りよくハッチャーが部下と共に応援に駆けつけ、タブは射殺されるが、ソーンもまた重傷を負う。ソーンは担架で病院に運ばれる途中、ソイレント・グリーンの秘密を告発するよう、繰り返しサッチャーに訴え続けた・・・。(KINENOTE)

監督:リチャード・フライシャー
出演:チャールトン・ヘストン/リー・テイラー・ヤング/エドワード・G・ロビンソン/チャック・コナーズ

ネタバレ感想

適当なあらすじ

舞台は2022年のニューヨーク。環境汚染や人口増加により世界中が食糧危機に見舞われ、一部の富裕層を除いた市民たちは政府が配給するソイレントグリーンと呼ばれる食材で糊口をしのいでいる。住む家を持たぬ人々も多く、町はいつ暴動が起きてもおかしくない状態。

その一方で、金持ちや権力者たちは少ないながらも酒や野菜、牛肉を食べられる生活ができている、かなりの格差社会。しかもこの富裕層たちの家には、「家具」と呼ばれる女性たちが住んでおり、その家の持ち主となった人間はその女性を好きなように扱うことができるのだ。

で、ある金持ちの殺人事件の捜査をすることになったソーン刑事(チャールトンヘストン)は、その富豪がソイレントグリーンの配給に関わる人物であることを知り、捜査を進めるうちにソイレントグリーンの秘密を知ることになるのであったーーというのが適当なあらすじ。

食糧危機を予見したSF

Unextで見つけて鑑賞。つい最近の2022年を描いた作品ではあるものの、その描写はだいぶ古臭い。だが、社会情勢は現代に通じるものがあり、この作品ほどではないものの、近い将来に食糧危機は起こるだろうし、格差は現時点でも広がりつつあるわけで、単なるSFとしては片付けられてない恐ろしさが感じられる内容であった。

ちなみに最近は、『世界で最初に飢えるのは日本』なんて書物がけっこう話題になってて、俺もそれを読んだんだが、あれをすべて真と受け止めると、実に暗澹とした気持ちになっちゃう。権力者どもはどうあっても市民たちを飢えさせたいとしか思ってないような政策ばかりしてるわけだからな。

この作品内の主人公、ソーン刑事は一応職は得ているので貧しいながらも住居があり、そこでソルという老人と共同生活をしている。この老人は世界が食糧危機や環境汚染に侵される前の地球を知っていて、識字率の低くなった世界で、本を読むことができる知識人。

そして、本人も「本」という存在として社会に認知されている。この「本」という存在は、紙も不足して印刷ができなくなった世界において、過去の書物などを読み、その知識を伝える能力のある人たちで、ソルはソーン刑事に本から得た情報を与えることで捜査に協力している、ソーンにとっては欠かせない存在なのだ。

この辺は、情報の重要性が垣間見られる設定ではあるものの、インターネットが普及している現実世界においては、こうしたソルのような人間の存在は重視されないのかもしれないですな。それよりも、いかにネット上の情報にアクセスするか、それが可能な人物が重要になるのかもしらん。

食は人生を豊かにしてくれる

ともかく、二人は協力して同じ家に住み、ソーンはその職権を濫用して富裕層の家から食べ物をいただいたり、家具とねんごろな関係になっちゃうような非道な刑事。しかし彼が手にした食糧をソルと仲良く分け合って食べているシーンなどは、この作品においてはなかなかにほのぼのとするシーンであるのも確か。食というのは人間の人生を豊かにするものであるなぁ、とあらためて感じられるのである。

でまぁ、このソルは、ソイレントグリーンにまつわる事の真相知るにおいて、生きることに絶望して「ホーム」へ入ってしまう。このホームというのは公認の安楽死施設で、世界の美しい景色を映し出すビジョンを観ながら、眠るようにして死ぬことができるのだ。

そもそも、美しい景色が普通に見られない時点でディストピアであり、そう考えると今の現実世界はこの作品よりはまだマシ。食べられるうちにおいしいものを食べて、旅行なりなんなり、素晴らしい世界の風景に触れる。できるうちに、そうやってこの世を堪能したいと思っちゃったな。

どうせそのうち、この作品のラストみたいに人間を食料にしたソイレントグリーンが配給される世界にならんとも限らないわけだし。人肉が食材になる未来が来るかどうかはさておき、食糧危機は起こるような気がするし、環境汚染は危機的状態になっているようだし、進行もしているわけだから。

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