THE POOL ザ・プール
飛び込み用の深さ6メートルのプールの底に置き去りになったデイとコイ。プールにはワニもいるので、食べられないように気を付けなきゃならん。果たして二人はプールから無事脱出できるのか――。突っ込みどころ満載だが、驚き演出などはそれなりに上手なので最後までそこそこ楽しめる、タイ産のパニックバカ映画。ネタバレあり。
―2018年製作 泰 90分―
解説:深さ6mのプールを舞台に、人間とワニの死闘を描いたタイ製シチュエーションスリラー。アートディレクターのデイは、プールでの撮影後、水に浮かべたエアマットの上で眠っていた。目覚めると水が抜け始めており、ひとりでは上がれなくなってしまい…。(KINENOTE)
あらすじ:アートディレクターのデイはプールでの撮影が終わり、浮き輪で浮かびながら眠りに落ちてしまう。翌朝、デイが気づくと既にプールの水が抜け始めており、深いプールから上がれなくなってしまう。すると、運よくデイの彼女がやって来るのだが、彼女は足を滑らせ、飛び込み台に頭を強打、そのままプールに落下、彼女は意識を失ってしまう。やがて、すっかりプールから水が抜け、脱出口となるはずのマンホールが露わになるのだが、今度はそのマンホールからワニが現れ、マンホールを占領される。脱出不能の空間に凶暴なワニと餌となった二人。灼熱化するプールの中で、飲まず食わずで衰弱していく二人は、果たして生きて脱出できるのか!?
監督・脚本:ピング・ランプラプレング
出演:ティラデート・ウォンプアパン/ラットナモン・ラットチラタム
ネタバレ感想
アマゾンプライムで見つけて鑑賞。映画レビューアプリの評価などは低めみたいだが、俺はけっこう楽しめたな。
主人公のデイがなんとか危機を脱しようとジタバタし、その努力が運悪く報われず――ってな展開が繰り返されるだけなんだけども、演出がそれなりに優れているのか、けっこうハラハラさせてくれるし、バカすぎる展開に笑えるシーンがけっこうある。
そういう展開がラストまで延々と続くだけとも言えなくはないが、よくもまぁ、こんな不幸なシチュエーションを思いつくもんだと感心しなくもない。
ところどころで、他人に助けを求められそうなシーンもあるんだけど、デイはすべてにおいてタイミングが悪く、けっきょくは自力で何とかせざるを得なくなっちゃうところなんかは、絶望感があってよい。
とはいえ、先に述べたように突っ込みどころも満載。むしろ突っ込みどころしかないバカ映画でもある。そもそも、なんで水を抜いちゃってるプールでデイは、マットタイプの浮き輪で居眠りこいちゃってるのか。アホすぎだろ。
彼女のコイもトンマで、すでに水かさが大分低くなってるプールに飛び込んじゃおうとか思うのか。しかもあろうことか、突然呼びかけられたデイの言葉に驚いちゃって、飛び込み失敗して頭をぶつけて失神。ただの足手まといになっちゃう。
さらに、この作品の不評の一因になっているであろうと思われるのが、犬のラッキーの存在。この犬はデイにとってはラッキーな存在ではあるが、本人にとっては不幸でしかない結末を迎える。
首吊りで死んでしまう犬というのはなかなか斬新なアイデアではあるものの、かなり残酷。しかも、デイは、そんなラッキーをロープがわりにすることでプールから脱出してるからね。この鬼畜な演出は犬好きにとってはかなり不評を買ったと思われる。
しかしまぁ、いくら大きめの体型とはいえ、人間の体重を支えるほど犬の体って頑丈なのかね。あれで、デイの重みに耐えられずにラッキーのクビがもげちゃってまた一難。みたいな演出になってたら、さらに評価を下げたかもしれんなぁ。
ちなみに、このシチュエーションをつくりだしてるプールの構造に謎部分が多いのもポイント。だって、あんなに深いプールに梯子がないのは明らかにおかしいと思うよ。
さらに、同じようなプールが隣にもう一つあるってのも結構不自然。しかも、二つのプールは排水溝でつながっているんだけども、では、肝心の水はいったいどこに排水されていくのか。
デイが脱出口を探して排水溝を這いずり回ってるのを見た感じでは、このプールの水はいったいどこに流されていっているのかがわからないのである。
と考えると、この作品は俺がそれなりに褒めていた演出を実現するためにご都合主義的な物語設定が背景に置かれちゃってるという見方もできる。
デイが必要としていたガムテープを偶然にもワニの口に入っちゃってるのとかも、そんなご都合主義の一つとも言えそうだ。
まぁでも、そういう突っ込みがありつつも、俺はラストまで楽しめたな。2度目の鑑賞は当然ないけども(笑)。
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