殺人鬼から逃げる夜

聴覚障害のある女性が、目下人殺し中のサイコパスな男と遭遇したことで執拗に後を追われるスリラー。イラつく場面や突っ込みどころも多いがそれなりに楽しめます。ネタバレあり。

―2021年公開　韓　104分―

解説とあらすじ・スタッフとキャスト
ネタバレ感想

解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:「リトル・フォレスト　春夏秋冬」のチン・ギジュ主演による新感覚スリラー。連続殺人事件を目撃してしまった耳の聞こえないギョンミ。サイコパスな殺人鬼は、執拗なまでに彼女を追いまわすが、彼女には追手の足音は聞こえず、さらに助けを呼ぶ言葉も届かない。共演は「コンジアム」のウィ・ハジュン、「はちどり」のキル・ヘヨン。監督は本作がデビューとなるクォン・オスン。(KINENOTE)

あらすじ:連続殺人が続く街。帰宅途中に偶然、事件現場に遭遇してしまった耳の聞こえないギョンミ（チン・ギジュ）。意味もなく理由もなく連続殺人に手を染めるサイコパスな殺人鬼（ウィ・ハジュン）は、唯一の目撃者であるギョンミを次なるターゲットに据え、執拗なまでに彼女を追いかけまわす。一方、ギョンミは必死に夜の街を走り続けるが、彼女には追手の足音は聞こえず、さらに助けを呼ぶ言葉も届かない。自身の知恵と視力、そして脚力に頼るしかなかった。だが、警察さえも手玉にとるスマートで大胆なサイコパスは、まるでゲームを楽しむかのようにじりじりとギョンミを追い詰めていく……。(KINENOTE)

監督・脚本:クォン・オスン
出演:チン・ギジュ/ウィ・ハジュン/パク・フン/キル・ヘヨン/キム・ヘユン

ネタバレ感想

超適当な内容紹介

レンタルで鑑賞。聴覚障害のあるギョンミとその母が仕事からの帰宅中、サイコパスが女性を襲っている現場に遭遇。いろいろあって警察に駆け込んで助けを求めるんだけども、二人は喋れないので説明がうまくいかない。実はサイコパス自身も変装して被害者女性のアニキになりすまし、母子と一緒に警察に同行してて、ギョンミの母は男を怪しみつつも、犯人であるという確信が持てない。

二人がサイコパスに出会ったのは、こいつが別の女性を襲っている最中で、ギョンミは襲われている女性に助けを求められた。そのせいで、サイコパスの的にかけられてもうたのだ。一方、襲われた女性には兄がいて、妹の帰りが遅いのを心配した彼も警察に駆け込んでくる。

役者がそろっていろいろ起きる中で、ついにサイコパスは本性を現し、ギョンミや男たちに襲い掛かってくるのであった。というのが、メチャクチャ適当すぎる内容紹介。

ハラハラドキドキ、イライラ

レンタルで鑑賞。なんとも内容説明が面倒くさい話だ。この作品が優れているのは、ギョンミとその母が聴覚障碍者であって、言葉をうまく話せないところにある。

であるから、彼女らが警察に駆け込んでも警察にうまく事情を話せず、サイコパスの演技に騙されて真相を知ってもらうことができない。街中の人に対しても、うまいこと事情を説明して助けてもらうことがなきない。それによって、サイコパスが状況的に常に有利な状態にあるため、追われるギョンミの行く末にハラハラドキドキできるのである。

さすがに警察が無能すぎだろとか思いつつも、ともかく言葉で説明できないことの歯がゆさが伝わってきて、なんともイライラしてくる。このイライラはある意味では映画の内容にはまり込んでいるからとも言えるので、この辺が本作のお楽しみポイントではあるのだ。

ツッコミどころも多い

とは言え、突っ込みどころも多い。まずは、サイコパスが事件を起こす現場やギョンミの自宅周辺に人が少なすぎる。ギョンミの母と仕事先のおばさんの会話で「このあたりも人が少なくなってきて物騒」みたいなセリフがあって、それがその周辺の環境を説明してはいる。

してはいるものの、さすがに、車などは路上にたくさん駐車してあるし、住宅の窓には明かりがともっているわけで、あんだけの追いかけっこやらなんやらの騒ぎを起こしてたら、通行人が出てきそうなもんだし、住民も気づきそうなもんだ。

ところが、それは起きない。ほぼ無人とも思える住宅街を、登場人物たちだけがジタバタし続けるのである。

さらに、その街の治安を守る警官が無能すぎ。いくらサイコパスが巧妙に騙しているからと言って、もう少し訝しむはずだろ。ついでに、最後にサイコパスは繁華街で警官に射殺されるんだけども、あれもおかしい。

警官はサイコパスの周囲を何名かで囲んでて、さらにその周囲には野次馬がアホみたいに群がっているのだ。最後にサイコパスは四方から結構な銃弾を浴びるわけだが、あれ、外した流れ弾が野次馬に当たると思うんだけどなぁ。全弾命中したってことなんだろうか。

一方のサイコパスは無差別に人を殺せる奴なわけで、まさにサイコパス的。しかしこいつは、何が目的であんなことしてんのかよくわからん。最後まで捕まらない自信があったっぽいけども、警察が無能だから捕まってなかっただけだよな。そう思わせるくらいに、いたるところに証拠とか残しまくってるし、そもそも、若いほうの女を殺さずに生かしておくのはなんでなんだよ。

ついでに言うと、その女のアニキもバカ。刃物を持った基地外をボコれるぐらいの戦闘力の持ち主なのに、詰めが甘すぎ。ラストのほうのバトルでは、サイコパスを締め落としておきながら、そこに放置し続けたせいで目覚めさせちゃうとか、ほんとバカ。

まずはサイコパスが目覚めないように警戒しつつ、警察に電話だろ。あと、こいつはギョンミを一度、思いっきり裏切っているわけで、ラストの和気あいあいぶりもいかがなもんかと思っちゃったな。

ということで、実は警察も犯人もみんなバカばっかで、事件の起こる街の状況なども作品の物語展開のためにご都合主義なところが多々あるので、そういうのが気になり過ぎた人には面白くない作品だったかもね。