マラソンマン
名ランナーのアベベに憧れてマラソンに勤しむ大学院生が、兄の仕事に絡むダイヤモンド事件に巻き込まれて拷問を受けるなど悲惨な目に合う話。ネタバレあり。
1976年製作 米 125分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
出演:ダスティン・ホフマン/ローレンス・オリヴィエ/ロイ・シャイダー
解説:思いがけぬ事のなりゆきから、恐ろしい事件に巻き込まれていく男を描くサスペンス作品。製作はロバート・エヴァンス、シドニー・ベッカーマン、監督は「イナゴの日」のジョン・シュレシンジャー、原作(早川書房刊)・脚本はウィリアム・ゴールドマン、撮影はコンラッド・ホール、音楽はマイケル・スモールが各々担当。出演はダスティン・ホフマン、ローレンス・オリヴィエ、ロイ・シャイダー、マルト・ケラー、ウィリアム・ディヴェインなど。(KINENOTE)あらすじ:ニューヨーク。銀行の貸金庫より出た老人は、雑踏の中、出してきた小箱をある男に手渡し、直後交通事故死した。この事故を近くでマラソン・トレーニング中のベーブ(ダスティン・ホフマン)は見ていた。彼の崇拝者はあのアベベであったが、ランニング中の事故は不吉なめぐり合わせの始まりだった。パリは高級ホテルの一室。ベーブの兄ドク(ロイ・シャイダー)はアメリカ政府機関(ディビジョン)の男。例の箱を売り込もうとしたが、常に命を狙われていた。一方南米ウルグアイにいるナチの残党ゼル(ローレンス・オリヴィエ)は、ニューヨークでの老人の事故死を知るや、ニューヨークへ飛ぶ。ある日ベーブは図書館でエルザ(マルト・ケラー)と知り合うが、公園でデート中2人の男に襲われる。ベーブがこの事件を手紙でドクに書いた数日後、ドクが帰って来、エルザを交えた3人は食事をするが、彼女がドイツ人と知りドクの態度が変った。その夜ドクはゼルと会う。彼はゼルの運び屋も兼ねていたのだが、弟に手を出すなと言った矢先、ゼルにナイフで刺され死ぬ。自分の下宿にたどりつき息切れた兄に驚くベーブ。そして、入って来たドクの同僚ジェニウェイ(ウィリアム・ディベイン)に兄の正体を知らされ再び驚かされるのだった。やがて公園での2人の男にベーブは誘拐され、地下室に連れこまれ、拷問をうける。銀行の貸金庫にゼル自身が宝石を受け取りに行っても安全かどうか、ベーブから聞き出そうとしたのだ。あまりの苦痛に気を失ったベーブをジェニウェイは助け出すが、それもベーブから秘密を聞き出そうとするワナ。ジェニウェイすらも敵なのだ。手下のすきをつき日頃のマラソンの訓練を生かしやっとの思いで、脱出に成功したベーブは、エルザの協力の下、郊外の家に隠れるが、そこはゼルの兄の家。エルザも一味の1人だったのだ。ベーブは彼女の正体を知り驚くが、再び現われたジェニウェイの一味と死闘をくり返す。そして勝ち残ったベーブは貸金庫からナチ時代の遺物のダイヤを持ち出したゼルと公園の池の前で対する。拳銃を彼をむけ、ダイヤを呑ますベーブ。格闘の末、階段からころげおち、自らのナイフで命をおとすゼル。冷然とした顔のベーブ。いつものマラソンコースを男達が行くのを尻目に去って行く彼だった。(KINENOTE)
監督:ジョン・シュレシンジャー
脚本・原作:ウィリアム・ゴールドマン
ネタバレ感想
率直に感想を述べるなら、ぜんぜん面白くないでありました。ダスティン・ホフマン扮するベーブと同様、鑑賞者はこの事件の謎をかなりの長い時間にわたって知ることができない。であるから、見知らぬ相手から襲われたり拉致された挙句に拷問されたりと、身に覚えがないことで悲惨な目に合う主人公の恐怖を、鑑賞者も一緒に感じることができるのは、なかなかだとは思う。
思うけども、何かよくわからん部分もけっこうある。例えば、ベーブの恋人になるエルザは初登場時から怪しさプンプンなのだ。何か裏がありそうだなと思わせる。でも、ベーブと一緒に、ゼル博士の一味に襲われたりするので、いや、そうでもないのかと思わせておいて、けっきょくはゼル博士の一味だったわけだ。その割に彼女、ベーブから何の秘密も得られてないという(笑)。
それどころかベーブの兄貴には完全に怪しい女と見抜かれちゃって、何の役にも立ってない。最終的には、ベーブに恋心を持つようになったのか、彼のことを助けて自分は死んじまうわけだから、ゼル博士一味からみたら、スパイとしては三流以下の役割しか果たせていない(笑)。
ベーブの兄貴が物語序盤のほうで、質屋みたいなやつにダイヤ? を売ろうとして、なぜかオペラ会場で取引することになって、兄貴がその相手との待ち合わせ場所にいったら相手が死んでいた。あれって誰が殺したんだ? よくわからん。
ベーブがマラソン好きなのはよくて、走って逃げる役に立っているから設定としては別に問題ないように思うけども、邦題だけでなく、原題も「マラソンマン」らしい。そこまでマラソンをフィーチャーしたタイトルにする必要あったのか疑問。あと、アベベに憧れている(と直接説明はないので、俺がそう思っただけ)ことが物語と何の関係があるのか、よくわからん。
てなことで、最終的にベーブは事の真相を知ることになるし、事件は一応解決するんだけども、なんかイマイチ楽しめなかったのである。
そういえば、ゼル博士はもともとナチスの党員だったらしく、戦後、ユダヤ人から奪ったダイヤをアメリカの弟に管理させてて、自分はウルグアイに身を隠していた人物。それが、弟が超間抜けな理由で死んでしまい(笑)、やむを得ず自分でダイヤを受け取って金に換えるべくアメリカにやってきたのだ。
で、終盤、ユダヤ人が営むお店でダイヤを売ろうとするんだけど、ナチの元党員だとバレたのか売れなくて、街中を逃げ回るシーンはそこそこ楽しめる。あそこでどうせなら、集団リンチにあってお縄を頂戴するか死亡してエンドでもよかったのではないか…ダメかな(笑)。
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