ロストガールズ
―2020年製作 米 95分―
解説:2020年に配信されたアメリカ合衆国のミステリ映画である。監督はリズ・ガーバス、主演はエイミー・ライアンが務めた。本作はロバート・コルカーが2013年に上梓したノンフィクション『Lost Girls: An Unsolved American Mystery』を原作としている。(wikipedeia)
あらすじ:2010年、24歳の女性、シャナン・ギルバートが行方不明になった。シャナンの母親、メアリーは直ちに警察に通報したが、電話手の反応が余りにも鈍かったため、警察署に乗り込むことにした。涙ながらの嘆願の結果、警察はようやく重い腰を上げたが、シャナンがCraigslistを介して売春を行っていた事実が判明した途端、警察はまともに捜査しなくなった。警察官たちにコールガールへの差別意識があったためである。業を煮やしたメアリーは自ら娘を捜索することにした。シャナンの失踪から半年以上が経過した後、ロングアイランドでコールガール4人の白骨死体が発見された。これを受けて、ようやく警察は本気で捜査に取り組むようになったが、世間は事件を面白おかしく消費するばかりであった。ここに至り、メアリーは事件の真実を解明するだけではなく、シャナンと他の被害者たちの尊厳を守るための活動に身を捧げる覚悟を決めるのだった。 (wikipedia)
監督:リズ・ガーバス
主演:エイミー・ライアン/トーマサイン・マッケンジー/ガブリエル・バーン/ウーナ・ローレンス
ネタバレ感想
実話をもとにした物語ってことで、ラストでこの事件のその後が少しだけ説明される。未解決事件なので結局犯人は分からずじまい。つまり事件の犯人を追うサスペンス作品というよりは、母親の娘に対する贖罪の気持ちもありつつ社会と戦う物語という感じだった。
何が贖罪かというと、母は双極性障害を抱える長女のシャナンを病から救うことができず、さらには彼女が売春で稼いだ金を得て生活の助けにしていたことだ。自分なりに娘を愛していた母は、結果として娘と死に別れることになり、そしてその一因が警察の怠慢にあることを知り、さらには売春婦だからということで事件を適当な憶測で報道するマスコミや世間のウンコ対応に憤り、自らで事件解明に尽力するようになるのである。
彼女は自身のうちにある娘に対する罪の意識を認めているのかそうでないのかは、はっきりとはわからない。しかし、憤りの気持ちをもって事件の解決に尽くそうとするその行動に、贖罪の気持ちがあるのだろうという想像はできる。
ではこの実話を物語にした作品が楽しめるかというと、そうでもない。それは母親に対して感情移入が難しかったからだ。この母親は根本的に親としての何かが欠落していて、例えば残っている二人の娘に対する接し方は冷たい。次女はしっかりした性格なのでむしろ母親を支えようとするが、彼女はその娘に対してさほど愛情を与えようとしない。次女は、愛してほしいとはっきり述べているのにも関わらず。それよりも、行方知れずの長女を捜すことに躍起になるのだ。なぜなのか、そこがよくわからんのである。
彼女が売春婦に対する世間の偏見と戦った行動は素晴らしいと思うのであるが、なんかその頑張りを手放しでは賞賛する気になれない面が作品内の描写では散見され、それは人間なんてそんな高潔な存在でないという意味では、真摯に実話ベースの内容として仕上げているんだろうとは思った。
あと、刑事役を演じたガブリエル・バーンて、『ミラーズクロッシング』とか『エンドオブデイズ』とか昔の作品ではもっと貫禄あったのに、最近の作品では今回のようなしょぼくれたオッサンの役柄が多くてちょっと残念。
この作品は、ネットフリックスで鑑賞できます。
コメント