レギオン
天使の軍団と人間という、ありそうであんまりない感じのアクションホラー作品。と言っても舞台が砂漠の中のダイナーのみなので、物語に疾走感はあまりなく、何かが物足りない印象。つまらなくはないんだけどな、おばあさんとか…(笑)。ネタバレあり。
―2010年公開 米 100分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:堕落した人類を見限った神に遣わされた天使軍団と、人類の壮絶な戦いを描くアクション・スリラー。監督は、「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」の視覚効果を担当し、本作が初監督となるスコット・スチュアート。出演は、「ダ・ヴィンチ・コード」のポール・ベタニー、「バンテージ・ポイント」のデニス・クエイド。(KINENOTE)
あらすじ:モハベ砂漠にある寂れたダイナーに、客として1人の老婆が訪れる。その老婆は突然怪物となり、天井を駆け上がる。ダイナーの外は、虫の大群に取り囲まれている。店にいた人々が恐怖に立ちすくんでいると、大量の武器で武装した男ミカエル(ポール・ベタニー)が、どこからともなく現れる。ミカエルは、これらは堕落した人間を見限った神が、世界を一掃するために遣わしたと話す。また、ダイナーのウェイトレスであるチャーリー(エイドリアンヌ・パリッキ)のお腹の子が無事に育つことが、人類を救う唯一の方法であると告げる。ミカエルの正体は、翼を捨て、人間の味方をすることになった大天使ミカエルだった。やがて、鋼鉄の翼を持ったもう一方の大天使ガブリエル(ケヴィン・デュランド)が、天使軍団“レギオン”を率いて現れる。(KINENOTE)
監督:スコット・スチュワート
出演:ポール・ベタニー/ルーカス・ブラック/タイリース・ギブソン/エイドリアンヌ・パリッキ/ケイト・ウォルシュ/デニス・クエイド
ネタバレ感想
ポール・ベタニ―扮するミカエルが、人類を滅ぼすことを決めた神に反逆し、人類の希望となる赤子を守るために天使の軍団を迎え撃つ話。天使の軍団と言っても、それらを率いるガブリエル以外は、何かに(天使??)取りつかれた感じのする人間たちだ。こいつらは何かに取りつかれているので、身体能力は上がっているようだが、基本的な攻撃は噛みつきのみ。銃で撃退できるので、それなりに人間たちも戦える。
ミカエルは地上に降りてきたときに、自らの手で天使の羽をもぎ取り、人間と同じ姿になりすます。で、銃器弾薬をひっかきあつめて砂漠のダイナーに向かうのである。で、このダイナーに最初にやってくる天使のしもべは、何かに取りつかれた婆さんである。
この作品はこの婆さんの豹変シーンがもっとも楽しめる。最初は温厚かと思わせておいて、ウェイトレスのヒロインに悪態をつき始める。笑えるのは、この婆さんはレアステーキを頼むんだけど、出てくるのはマジで生肉。やばいだろあれ。店としてあんなもん出して平気なんか? ハエたかってるし(笑)。
その後、この婆さんはいろいろあって本性を現し、近くにいた男の首を食いちぎり瀕死の重傷を負わせる。で、店長に銃を向けられるが、なんと彼女はゴキブリみたいな素早さで天井をガサガサとはい回るのであった(笑)。こんなメチャクチャなやつらがこれから大軍で押し寄せてくるのかと期待させるシーンである。
だがこの後、襲い掛かってくる軍団は数がたくさんいるだけで、そんなに強くない。なんか普通の人間と大差ないような。ダイナーに立てこもっている主人公たちに最初は撃退されちゃうからな。
で、少しずつ敵のレベルがあがっていくのかと思わせるんだけど、その後もさほど大した策は用いられない。とは言え主人公たちのほうが圧倒的に数は少ないし、赤子を守らなきゃいけないハンディもあるので、何人かの犠牲を出し続けてだんだん劣勢になっていく。
最終的にミカエルがガブリエルを道連れにするような形で犠牲になり、主人公とヒロインのみがダイナーから脱出に成功。ところがガブリエルは死んでなくて、主人公たちは追いつかれ、絶体絶命。そこへなんと、天使の羽をはやしたミカエルがさっそうと登場。ガブリエルを撃退するのであった。――て、オイオイオイ。
結局天使の姿に戻るなら、最初に自ら羽をもいだ意味ないだろ。人間に警戒されないためなんだろうけど、衣服で隠すとかいろいろできたと思うんだけどなぁ。いや、そもそも空を飛べるんだろうから、車を盗む必要もなかっただろうし、どうせ正体ばらすんだから人間に成りすます必要がないような気がするのである。
天使の軍団なんだからもっと圧倒的な戦力で絶望的な展開になるかと思わせといて、けっこう地味な攻撃のため人間でも戦えちゃうヘンテコ映画であった。ただ、俺は設定そのものは嫌いじゃないのでそれなりに楽しめた。ちなみに、ポール・ベタニ―主演作と言えば、『ギャングスター・ナンバー1』が一番好きだな。
ついでに、天使の軍団と戦う話と言えば、昔、少年ジャンプで『バスタード』ていう漫画が連載してて、主人公の魔導士が唐突に天使の軍団と戦う展開になって、ものすごく興奮して読んでいた。呪文の名前とかも中二心(あの頃にそんな用語はなかったけど)をくすぐりまくる感じで、よかったんだよね。
ところが作者が遅筆なためか全然話が進まず、そのうちジャンプじゃない雑誌に連載の場を移し、それでも細々と話は続いていたんだけど、あまりにも話が進まないので興味を失っちまってそれっきりなんだけど、あれはけっきょくどうなったんだろうか。
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