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映画 イノセンツ ネタバレ感想 子どものことを大人は知らない

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団地に住む子ども4人が夏休みに知りあって遊んでたら、超能力に目覚めていく話。子どもの純粋さや邪悪さを描写しつつ、大人には知ることのできない世界で生きる、子どもたちの葛藤などを描いた作品。ネタバレあり。

―2023年公開 諾=丁=芬=瑞 117分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:「わたしは最悪。」でアカデミー賞脚本賞候補となったエスキル・フォクトが、大友克洋の『童夢』にインスピレーションを得た長編監督第2作となるサイキック・スリラー。ノルウェーの郊外にある団地で、4人の子どもたちが、密かに隠れた力に目覚めていく。出演は「テルマ」のエレン・ドリト・ピーターセン。(KINENOTE)

あらすじ:ノルウェーの郊外にある住宅団地。夏休みの間に友だちになった4人の子どもたちは、親たちの目の届かないところで隠れた力に目覚める。近所の庭や遊び場で、新しい力を試す中、無邪気な遊びが影を落とし、奇妙なことが起こり始める……。(KINENOTE)

監督・脚本:エスキル・フォクト
出演:ラーケル・レノーラ・フレットゥム/アルヴァ・ブリンスモ・ラームスタ/ミナ・ヤスミン・ブレムセット・アシェイム/サム・アシュラフ/エレン・ドリト・ピーターセン/モーテン・シュバラ

ネタバレ感想

子どもたちが超能力に目覚めていろいろ起こる話。監督はインスピレーションを受けた作品の一つとして、大友克洋の『童夢』を挙げているらしいーーっていう情報を持って劇場で鑑賞。

確かに、舞台が団地であるところとか、ラストのほうの戦いなんかは同作品の影響を受けているってことには納得。とはいえ、北欧映画ってこともあって、派手な超能力バトルはない。もちろん、超能力バトルはあるんだけども、例えばハリウッド的な描写ではなくて、もう少し地味。

しかし、その地味さがかえって子どもたちの超能力にリアリティを与えているとも考えられる。

物語としては特に難しいところはなくて、それぞれの家庭に問題を抱えていた子どもたちが、その純粋さや子ども特有の邪悪さにプラスして、超能力を得たらどうなってしまうのかということが描かれている。

また、それぞれの子どもが実は、保護者たる親の理解を得られていなかったり、十分な愛情を得られていなかったりで苦しんでいるわけだが、親にはそれがまったく感じられていない様も描かれる。

イーダとアナの両親はけっこうまともでありはするが、やはり親目線のフィルターで二人を観ているため、二人の真の思いは伝わっていない部分が多く観られる。しかし、これはある意味ではどこの親子でもあることなんだろう。

もう少し気の毒なのは片親のアイーシャとベンである。前者の母親は娘に愛情を持ってはいるものの、精神的に不安定な人間のようだし、後者にいたっては完全に育児放棄して虐待までしていまっている。であるから、ベンが能力を増大させていくにおいて、邪悪な力に身を任せて暴走していくのも、致し方なしと思えなくもない。

このベンと似たような部分があるのがイーダで、彼女も一歩間違えれば、ベンと同じ道を歩んでいたかもしれぬ。冒頭では自閉症の姉への嫉妬心から靴に割れたガラスを入れるとかいう暴挙をしているし、ベンとの虫や猫殺しについては、途中まで彼女も楽しんじゃってるからね。

ただ、彼女は物語を通じて、少しずつ自分の中にある善の気持ちに目覚めていき、最後はベンと対決するまでに成長していくわけだ。

しかし、そこに大人の力はあまり介入していなくて、どちらかというと彼女は、姉とアイーシャとベンとの関わりの中で己の善悪の基準を見つけ、自ら歩むべき道を選んでいくのである。

まぁそうやって物語の言わんとしていることを書いてみたが、じゃあその話が面白かったかというと、別にそんなことはない。ただ、ベンが能力に目覚めて以降、暴走していき、さまざまな暴力行為をしていく様は非常に恐ろしく描けていて、そこいらの軟弱なホラーと比べたら、雲泥の差。

マジでそこが怖い。そして、彼はやらかしてほしくないことを、ほぼほぼやってしまうからね。

ラストのベンとアナ&イーダの超能力バトルには、他の子どもたちも参戦しているように見える。あれはアナが他の子どもを操って協力してもらってるのか、それとも能力者の子どもたちが自主的にベンに攻撃をしかけているのか。

その辺はわからないけども、子どもたちの保護者たちはこのバトルに何一つ気付いていないようで、最後まで子どもの保護者達は子どもたちの異能を知ることなく物語は終わる。ここに子どもと大人の断絶がある。

大人はかつて子どもだったのに、子どもの思いを理解できないようだ。てなことで、この物語は超能力というものをメタファーにして、大人と子どもの断絶を表現しているように思われた。

そしてもともと、幼い子どもには善悪の基準がない。ないからこそ、子どもが異能力を持ったときの暴走ぶりは、恐ろしいのである。

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