銃2020
どういう意図なのか、中村文則の『銃』を映画化したチームが、あらたに女性を主人公にして製作した作品。最後まで見ても、なぜこの作品が必要と思ったのかよくわからん内容だった。加藤雅也の存在は笑えるが。ネタバレあり。
―2020年公開 日 76分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:2018年に武正晴が監督、奥山和由がプロデューサーを務め映画化した中村文則の小説『銃』を、再びその3名が組み新たな視点から描いたサスペンス。東子はストーカーから逃げ雑居ビルに入ったところ、辺りが血に染まったトイレの洗面台の水の中から拳銃を拾う。「銃」に出演した日南響子が銃を拾い翻弄されていく主人公・東子を、銃が出会わせた謎めいた男を「Fukushima 50」の佐藤浩市が、東子を追い詰める刑事を「友だちのパパが好き」の吹越満が演じる。また、2018年の「銃」に出演した村上虹郎やリリー・フランキーなども出演。(KINENOTE)
あらすじ:ある日の深夜、後をつけてくるストーカー・富田(加藤雅也)から逃げる東子(日南響子)は、薄暗い雑居ビルに入る。水が流れ続けている音がしていることが気になった東子がトイレに入ったところ、辺りは血に染まっており、洗面台の水の中にあった拳銃を拾う。電気が止められゴミが散乱する部屋に戻り拳銃を確認すると、弾丸が四つ入っていた。東子は自分を毛嫌いする一方で亡き弟を溺愛し続けている母・瑞穂(友近)を精神科に見舞った後、銃の持ち主を探ろうと再び雑居ビルへ。そこで不審な男・和成(佐藤浩市)を見かけ後をつけていくが、東子は和成に捕まってしまう。そんな東子の近くで思わぬ事件が起こった。隣の住人の親子がある男を殺害。埋めるのを手伝った東子は、その死体に向かって拳銃を撃った。東子は拳銃の行方を探す刑事(吹越満)に追い詰められるが、また来ると言い残し刑事は去る。銃そのものに魅了された東子はさらに事件に巻き込まれ、彼女自身もその渦の中に入っていこうとする。(KINENOTE)
監督:武正晴
脚本:中村文則
原案:中村文則:(『銃』(河出書房新社))
企画・製作:奥山和由
出演:日南響子/加藤雅也/友近/吹越満/佐藤浩市/村上虹郎/篠原ゆき子/サヘル・ローズ/リリー・フランキー 刑事
ネタバレ感想
主人公の東子は生い立ちがかなり不幸で、それを引きずったまま成長したせいか、何に対しても無関心で、何にも関わりたくないと思って生きていて、しかしなぜか、路上に落ちているものを拾いまくってて、自宅はゴミ屋敷になっている。
そんな彼女が偶然見つけた銃に魅せられてどうなっていくかという話なんだけど、全体的には、つまらなくないとはいえ、何がしたかったのかようわからん。
今の社会の閉そく性みたいなんはこれでもかって感じるものの、物語展開に無理がありすぎると思っちゃうんだな。例えば東子と刑事の絡みとか、東子と、佐藤浩市が演じてた謎の男との関わり方とか、普通ならあんな展開にならんような気がする。なんというか、その展開でそこに居合わせることなんてあるかいな!? というふうに感じちゃうシーンが多いのだ。
隣人が大家を殺して、その死体を隠す展開も無理がありすぎ。夜中とはいえ、街中を死体を引きずっていくなんて、どう考えても足がついちゃうと思うんだけど。
そんな中で、加藤雅也が演じる変態人間が異物として存在してて、なぜかこいつが東子の一番の理解者(一方的だが)であり、しかもこいつの登場シーンのみ、ユーモアがある。ラストもそうだ。
この変態人間と、佐藤浩市の役回りは、ある意味で東子の父親代わりのような存在であるように感じたが、しかし、東子はそれを最後まで拒否し続ける。その辺の彼女の心情はどういうことなんかよくわからなくて、そのよくわからなさにあまりカタルシスもなく、なんとももったいない作品であるなと思った。
前作は原作に忠実だったし、原作ファンとしてはかなりよかったんだけどなぁ。
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