イビルアイ
妹のルナの病を治すために魔女伝説の残る、母の実家を訪れることになったナラ。祖母と共に生活していく中で、村の伝説を耳にし、祖母が魔女なのではないかと疑い始めたナラがジタバタしていくうちに、悲惨な目に遭う話。ネタバレあり。
―2023年公開 墨 100分―
あらすじ・スタッフとキャスト
あらすじ:都会に住む 13 歳の少女ナラは、妹の奇妙な病気を治すため、家族とともに母の田舎であるラスアニマスという村を訪れた。田舎には年老いた祖母が一人で住んでいた。しかし、次第に不穏な空気が漂い始め、ナラは祖母の不可解な行動から、彼女が人間ではない何者かであると疑い始める。どんどん容体が悪くなる妹、家政婦の突然死……。この村と祖母に隠された秘密とは一体…(Filmarks)
監督:アイザック・エスバン
出演:オフェリア・メディーナ/パオラ・ミゲル/サマンサ・カスティージョ
ネタバレ感想
アイザック(イサーク)エスバン監督作を始めて劇場で鑑賞。この監督は『パラドクス』と『ダークレイン』を観て、その作風の奇妙さに興味を持った。で、今作の前の『パラレル』も観てるんだが、あれは期待外れだったので今回は過剰な期待を抱かずに劇場へ足を運んだ。
結果として、第一印象は普通。実に普通。ナラの祖母であるホセファ婆さんの包帯姿などは『ダークレイン』を彷彿とさせなくはない。そして、魔女伝説と村社会の様子をダークファンタジー的に描いているところもこの監督っぽさは感じさせる。
でも、ホラーとして面白いかというと、それほどでもなく、描かれている内容もそんなに俺の琴線に触れるものではなかった。これは好みの問題。
全編通して不穏さを感じさせる音楽はなかなかよろしくて、ナラがたびたび婆さんによって驚かされるジャンプスケアには、素直に驚かされてしまったが、婆さんが魔女ではないかと疑い始めてから、ナラが眠るたびに観てしまう悪夢のシーンが繰り返されるばっかりで、冒頭からの謎めいた展開がなかなか判明せずに延々と続き、ナラはルナを守るために怯え続けながらも頑張るが、どれも適切ではない行動をとってるように見えて、イライラしてきちゃう。
話全体が単なるナラの妄想で、ババァはけっきょく家族思いのいい奴でしたーーみたいな展開になりそうでいて、しかしラストではそうではなかったことが判明するくだりは驚きなので良しとしたいが、いかんせん、最後にいろいろ詰め込み過ぎ感はある。
その割に、婆さんの身辺を世話してやってたペドロとアビゲイルの血みどろセックスや、なぜペドロが死んだのかとか、その後の葬式なのか婚礼式なのかよくわからぬお祭り騒ぎのくだりの意味がよくわからんし、その説明も最後までないのはけっこう不満。
婆さんのホセファ、ナラの母親のレベッカ、そして屋根裏にいたテレサの三人が、実は魔女伝説にかかわる三姉妹だったっていうオチはいいとして、それがナラの初潮と、彼女が大人になるための通過儀礼だったっぽい落としどころについては、よく理解ができない。
だって彼女は、すごい酷い目に遭うだけあって、なんも得してないし、成長したようには見えないからね。ルナはレベッカの愛情により病気から快復したにせよ、ナラについてはほとんど母親っぽい愛情が注げてない。であるから、ナラが悲惨なだけな話にしか見えない。それが大人になることなんだとしたら、それでもいいんだけど、やっぱりなんだか腑に落ちない感じで劇場を後にすることになった。
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