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映画 ロストエモーション ネタバレ感想 感情を抑制された人たち

ロストエモーション
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ロスト・エモーション

感情を抑制されて生かされている世界で、愛に目覚めた男女が社会からの脱出を夢見てジタバタする話。静かで抑揚のない話ではあるが、1度くらいは鑑賞してもいいかもしれない作品。ネタバレあり。

―2017年公開 米 102分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:リドリー・スコット監督が製作総指揮を務めたSFラブサスペンス。世界戦争後、平和を守るために遺伝子操作で人間から感情が排除された。しかし感情を呼び起こす伝染病が発生、感情を持ったサイラスとニアは見つかれば殺されると知りながら惹かれ合っていく。監督は「あなたとのキスまでの距離」(未)のドレイク・ドレマス。出演は「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のニコラス・ホルト、「トワイライト」シリーズのクリステン・スチュワートほか。日本でも撮影が行われた。特集企画『未体験ゾーンの映画たち2017』にて上映。(KINENOTE)

あらすじ:近未来。人類史上かつてないほど深刻な世界戦争が起こり、陸地の99.6%が破壊された。生き残った者たちは人類を破滅させる元凶は感情だと結論付け、平和的に人類が生存できるよう遺伝子操作で人間から感情を排除。共同体イコールズをつくり、そこで暮らす全ての人間を保健安全局の監視下に置いた。しかし感情を呼び起こす感染症が発生。愛情や欲望をはじめとする感情が芽生えた者は隔離施設に強制連行され、安楽死させられる。感情に目覚めたサイラス(ニコラス・ホルト)とニア(クリステン・スチュワート)は危険だと知りつつ惹かれ合い、外の世界へ脱出しようとするが……。(KINENOTE)

監督:ドレイク・ドレマス
出演:ニコラス・ホルト/クリステン・スチュワート/ガイ・ピアース

ネタバレ感想

アマゾンプライムで見つけて鑑賞。SF小説の『華氏451』や『1984』に影響受けたんだろうなぁと感じるSFディストピア作品。もう少し最近の映画作品だと『アイランド』とかに世界観は似ているし、感情を抑えるというのであれば、『リベリオン』の設定に類似点があった。

何でもこの作品の世界は先の大戦により人口のほぼすべてがいなくなり、生き残った人間たちは、戦争などの愚行を起こすのは人間の“感情”によるところが大きいと判断。遺伝子操作によってそれを排除することに成功したらしい。

で、そこに生きる人間たちは感情がないので、毎日無表情で機械的に日々を生きているのだ。しかし、そんな世界になぜかSOSという病気が流行りだす。これは人間の心に感情が呼び起こす病気で、ステージが進むと社会に適合できないと判断されてこの世から葬られてしまうらしい。そして人間たちは、感情表現をしている人間がいないかを相互に監視し合っているのだ。実に息苦しいディストピア。

この作品内の病気ってのは通常の人間の健全な状態のことを言っているのであって、どうしてこの作品において社会を牛耳る組織が人間の感情を抑えつけてるのかってのは、前述したとおり。確かに感情を抑制することで人間たちの争いごとを減らすというかなくすことはできているようだが、それには相当な管理が必要。

しかし、そこまで管理して息苦しい生活を強いられてまで人間は生存し続ける必要があるのだろうか。そもそも生存が目的になっており、それを達するための手段が正当化されている社会。そんなところで生きていたくないと思う人のほうが多いと思うんだけども、実は今の社会もこの作品で描かれているように、政府とか権力とかによってよくわからん目的達成を押し付けられ、その手段が正当化されることによってやりたくもない生き方をしていると感じてしまっている人も多いんではないか。ディストピア。

もちろん、その目的を自分事としてとらえられる人にとってはその手段を用いることに正義を感じるのかもしらんし、それが正義と信じるがゆえに、それに従えない人間を悪とみなしてしまうという分断的思考は、リアル世界でも容易にみてとれる。なんでもかんでも右か左か、白か黒かで語れるほど簡単な世界だったらある意味でこの作品のように生きやすい部分はあるのかもしらんが、普通に見たら、この世界に住みたいって思う人のほうがまだまだ少数だと思うんだけどなぁ。

でもやっぱり、この作品のような世界になる一歩手前くらいまで今の世の中は来ていると思うし、実に嫌な感じ。

ということで、作品そのものは起伏がそれほどなく進むので退屈ではあるものの、描かれていることを注視して自分事として何がしかを感じることは大事であるのではないかと思う。

ラストは希望がそれなりにある終わり方だったが、果たして主人公のサイラスはニア=エヴァに対して愛情表現をし続けられるのだろうか。そういえば、いろいろあってニアはエヴァと名前を変えて生きていくことになるのだが、あれはいわゆる聖書のイヴに相当する存在になることを示唆してるのかもしらんなぁ。

あと、サイラスとニアは出版部というクリエィティブな部署で働いてたが、感情を抑制すべき世界のクリエイティブってどんなものが作れるのか。物語中では宇宙船の建造とかが考えられてたが、サイラスは絵をかいてたし、何をやっているのかよくわからん部署だ。そもそも、クリエイティブなことをするには感情ってのがとても大事だと思うので、それを育む温床になり得る部署があの社会にあることがよくわからん。

映画 アイランド ネタバレ感想 クローンVS本物
映画 アイランド ネタバレ感想 クローンVS本物 施設から脱出してからのアクションがド派手(笑)。細かいことなんてどうでもいいんだよ! ってくらいの大味な展開でテンション高めに物語が進んでいく。
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管理社会を風刺、そしてその恐怖を描いた傑作の一つです。単なるアクション作品としても面白い。オリジナルの格闘術ガン=カタがいいですね。そして、考えれば考えるほど、広がりが出てくる作品と思います。こういう作品を見て思うのは、今の社会も悪くない。むしろよいってことですね。いろいろのことを自分で選べるわけだから。

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