ブルータル・ジャスティス
メルギブ主演作なんて久しぶり。これがけっこう当たりな、楽しめるバディ的バイオレンスムービーであった。ネタバレあり。
―2020年公開 加=英=米 159分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:第75回ヴェネチア国際映画祭アウト・オブ・コンペティション部門に正式出品されたバイオレンス・アクション。強引な逮捕が原因で停職処分になったベテラン刑事のブレットと相棒トニー。家族のために大金が必要なブレットは、犯罪組織の金の強奪を計画する。監督は、「デンジャラス・プリズン 牢獄の処刑人」のS・クレイグ・ザーラー。出演は、「エクスペンダブルズ3 ワールドミッション」のメル・ギブソン、「ハクソー・リッジ」のヴィンス・ヴォーン、「ハリエット」のトリー・キトルズ、「スポーン」のマイケル・ジェイ・ホワイト、「デンジャラス・プリズン 牢獄の処刑人」のジェニファー・カーペンター、「アメリカン・アニマルズ」のウド・キアー、「タクシー運転手 約束は海を越えて」のトーマス・クレッチマン、「ジャンゴ 繋がれざる者」のドン・ジョンソン。(KINENOTE)
あらすじ:ベテラン刑事のブレット(メル・ギブソン)とその相棒トニー(ヴィンス・ヴォーン)は、強引な逮捕をして6週間の無給の停職処分を受ける。ブレットは家族のために大金が必要だったため、一攫千金を狙い、不穏な動きを始めた犯罪者の情報を得て、その後に金を強奪するという犯行を計画する。ブレットはトニーを誘い、ボーゲルマンという男の監視を始める。ある朝、ボーゲルマンとその仲間が動き出し、ブレットとトニーは彼らを尾行するが、その追走劇は二人にとって地獄の始まりだった……。(KINENOTE)
監督・脚本:S・クレイグ・ザラー
出演:メル・ギブソン/ヴィンス・ヴォーン/トリー・キトルズ/マイケル・ジェイ・ホワイト/ジェニファー・カーペンター/ウド・キア/トーマス・クレッチマン/ドン・ジョンソン
ネタバレ感想
全然期待してなかったんだけど、これは面白い。暴力映画好きにとっては、けっこうな良作。
メルギブ演じるブレットとトニー(ヴィンス・ヴォーン)のコンビ芸が楽しめるバディムービー的要素がありつつ、容赦ない暴力描写。まず、何がいいって、メルギブ演じるブレットとトニー(ヴィンス・ヴォーン)のコンビ芸が楽しめるバディムービー的要素があること。
俺はバディームービー結構好きで、この二人は20歳くらい年の差があるみたいなんだけど、友だちみたいな感じで仕事をしている。
張り込み時の飯を食う時の会話など、ユーモアのある罵倒であったり、シュールな内容のものもあったり、ともかく楽しめる。
トニーが命を落とすところにも悲壮感がある。あるのにもかかわらず、プロポーズしてた彼女には振られちゃうところなんかは、ごめんだけど笑っちゃうんだな。
さらにネタバレしていくと、ブレットも最終的には死ぬことになるわけで、単なるハッピーエンドで終わらない物語展開もまた、好感度大。
さらにいいのは、敵役の覆面たちが非常に残忍な奴らで、コンビニ強盗なども含め、目的のために人を殺すことになんのためらいもないことがわかって、非常に存在感がある。
こいつらに対峙するのが、検挙率は高いものの、捜査の強引さで停職になっちまってる、はみ出し刑事コンビというのがいい。悪者を相手にするにはこうした不良刑事がうってつけなのである。
にしても、ともかくこの悪役たちの、銀行強盗のシーンで行う無意味な殺人とか、逃走中に人質にした女性の扱いとか、ともかく酷くて、特に後者の扱いによってトニーは死んじまうことになる。
トニーは警官であるから、人質は救出したいと思うのが普通で、もう少し警戒してればよかったのにとは思わなくはないが、この敵側の恐ろしさがきちんと描かれているからこそ、この作品は面白いのである。
銀行で死んじゃう女の人も、その背景を描いているから、よりあのアッサリとした殺されてしまい方に驚かされるのであって、要するに人生なんてそんなもんなのだ。
この作品は最終的に生き残ることになる前科者の黒人についても、その背景をきちんと描き、刑事二人の背景もきちんと描き、犯罪者たちの背景は描かないものの、その残忍さをきちんと描写してみせ、殺される側についても一部その背景を描く。
それぞれ無駄に思えるようなシーンも挿入したから2時間を超える作品になってると思うんだが、やっぱり、無駄ではないのだ。
その長い尺の中で劇的に物語が転がっていくシーンというのはなく、淡々と話が進んでいくのにまったく飽きることなくラストまで楽しめるところが素晴らしい。
ただ、トニーが事あるごとに言う「アンチョビ」にはどういう意味があるんだろうか? なんかのスラング?
この監督の作品って全然鑑賞したことなかったんだけど、これを機に過去作も鑑賞してみようかなと思った。
コメント