ゾンビ・コップ
ゾンビになってしまった刑事が、製薬会社の悪事を暴くためにジタバタする、ゾンビバディアクション。深く考えるとけっこう重めの内容なんだが、浅い設定とコメディタッチな展開で描かれるので、気軽に楽しめるB級作品。ネタバレあり。
―1989年公開 米 83分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:ロスを舞台に、ゾンビになってしまった刑事と、ゾンビによって構成されている悪の組織との戦いを描くアクション映画。製作はマイケル・メルツァー、デイヴィッド・ヘルパン、監督はマーク・ゴールドブラットで本作品が監督デビューとなる。脚本はテリー・ブラック、撮影はボブ・イェオマン、音楽はアーネスト・トゥルースト、SFXはスティーヴ・ジョンソンが担当。出演は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」のトリート・ウィリアムズ、ジョー・ピスコポほか。(KINENOTE)
あらすじ:白昼、ロサンゼルスの宝石強盗の現場に到着した刑事、ロジャー(トリート・ウィリアムズ)とダグ(ジョー・ピスコポ)が激しい銃撃戦の末仕止めた犯人は、ここ3週間の間に6件もの犯行をやってのけた強盗団の1人ということが分かる。さらにロジャーの元恋人で検視補佐のレベッカ(クレア・カーコネル)によって、犯人の死体は既に死後数週間たっているという事実が判明し、不信の念を抱いた2人は捜査を進めてゆくうちにゆきついたのは、ダンテ製薬会社の、死者を12時間だけ甦らせる不気味な実験室だった。秘密を知られた犯人達はロジャーを窒息室に閉じ込め殺してしまうが、彼の死を悲しむダグとレベッカの手によって、この実験台に体を横たわらせたロジャーは、結果12時間だけの生命を与えられるのだった。やがて一味によってダグも殺されてしまい、レベッカの上司であるマックナブ博士(ダーレン・マクガヴァン)も一味の1人であることを知ったロジャーは、彼らと対決すべくダンテ製薬に乗り込み、ダンテ製薬の陰謀を暴くと同時に、彼もまた“ゾンビ・コップ”となったダグとともに一味を打ち倒し、この邪悪な実験室を破壊、そしてロジャーとダグの命も一応の安心を見るのだった。(KINENOTE)
監督:マーク・ゴールドブラット
出演:トリート・ウィリアムズ/ジョー・ピスコポ
ネタバレ感想
実に懐かしい作品をUーNextで見つけたので鑑賞。初見は地上波の日曜洋画劇場だったなぁ。こうやって久しぶりに観てみたら、それなりに楽しめた。
刑事二人のバディアクション要素にゾンビ設定を加えた本作、当時に流行ってた娯楽作品のいくつかの設定をいいとこどりしたような内容になっている。
展開は先述したようにコメディタッチなので気軽に観れて楽しい。主人公のロジャー刑事は図らずも捜査中に死んじまって、ゾンビとなって甦るわけだが、12時間後に腐敗してもう一度死ぬことになる自分の身を案じてブルーになる描写があり、このドラマ要素を深堀りすれば、別のテイストの作品になりそうな感もあるが、今作はそうはならない。終始コメディタッチで明るい感じで物語が進んでいくのである。
相棒のダグが死ぬところなんかも描写はないものの、殺されシーンはけっこう残酷だったんだろうなぁという遺体姿だし、元恋人の検視官の女性も悪の組織に殺されちゃってるし、自分も、終盤で蘇る相棒も死ぬわけだし、よく考えたら主要人物が全員死んじゃってるんだよね、この映画(笑)。
どうやら製薬会社はゾンビになっても延命できる技術を開発しつつあったようで、途中で捜査に協力してくれる製薬会社に勤めてた広報の女性なんかはそうだったぽいんだけども、ロジャーとダグは延命できる術を探ろうと思えば探れたのに、それはせずに組織をぶっ潰して、明るく振る舞いつつ死を選んでいくという潔さ。
これもコメディ色の強い作品だからこそ成せる技で、「無駄に生きるな、熱く死ね!」みたいな漢気を感じてしまうのである。
にしても、設定はメチャクチャで、そもそも製薬会社の装置でどうしてゾンビになれるのか意味不明だし、広報の女性が何を隠してたのかもよくわからんうちに腐敗していなくなっちゃうし、精肉工場の天井の光でなんで豚や鳥がゾンビ化するのかもようわからん。
しかし、もろもろの細部を描き切らずに勢いで突っ切る展開はこれまた潔し。「細かいことなんざ、どうでもいいんだYO!」って感じに最後まで駆け抜けていく娯楽作品である。
しかしまぁ、あの精肉店で肉塊たちがよみがえるシーンはなかなか気持ち悪くて、そもそも、ゾンビにならなくても、あんなところに保存されてる肉なんて絶対食いたくない(笑)。
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