ダークマン
リーアム・ニーソンが人工皮膚を被ったダークマンを演じた怪作。大火傷によって神経がマヒしてしまった男が、超人的なパワーを発揮して自身を襲った悪党たちに復讐する話。パワー云々よりも、皮膚を使って変装する部分のほうが面白いかな。ネタバレあり。
―1991年公開 米 96分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:殺し屋によって瀕死の・火傷を負わされながら自らの開発した人工皮膚によって蘇った男--ダークマンの、現代版「オペラ座の怪人」とも言うべきモダン・クラシカルな復讐譚。製作はロバート・タパート、監督・原案・脚本は「死霊のはらわたII」のサム・ライミ、共同脚本はチャック・ファーラー、アイヴァン・ライミ、ダニエル・ゴールディン、ジョシュア・ゴールディン、撮影はビル・ポープ、音楽はダニー・エルフマンが担当。出演はリーアム・ニーソン、フランセス・マクドーマンドほか。(KINENOTE)
あらすじ:人工皮膚の開発に従事する若き科学者、ペイトン・ウェストレイク(リーアム・ニーソン)は、恋人で弁護士のジュリー(フランセス・マクドーマンド)が手に入れた土地の再開発にからむ収賄事件の証拠書類を持っていたことから、突然デュラン(ラリー・ドレイク)ら殺し屋一味に襲われ、書類を渡せと拷問を加えられた末に実験室に火をつけられる。全身に大火傷を負いながらも奇跡的に一命を取りとめた彼は、全ての神経を切断されて感覚が麻痺した結果、抑制力を失ない超人的な力を発揮するようになっていた。その夜病院を抜け出したペイトンはジュリーのもとへ向かうが、変わり果てた姿となった彼をジュリーが見分けられようはずはなかった。失意の中ペイトンは廃工場の暗闇の中に身を潜める<ダークマン>となって、超人的な努力で人工皮膚の研究を再開するが、それはまだ実験段階で、どうしても光に弱く99分で分解してしまうのだった。一方、ジュリーはデュランを雇ったのが不動産業界の大立者ルイス(コリン・フリールズ)であることを知り問いつめるが、彼は動じないばかりか、逆に彼女に自分の片腕にならないかと迫る。そんな中在りし日のペイトンの姿の仮面をかぶったダークマンが再びジュリーの前に現われる。死んだと思っていた恋人の生還に喜ぶ彼女に、彼はどうしても自分のありのままの姿を見せることができず、いつも治療があるといっては皮膚の分解する前に消え去るのだった。そしてついにダークマンの復讐が開始される。人工皮膚を使って変装した彼はデュラン一味の1人1人になり替わることによって、彼らを仲間割れに追い込み、1人ずつ仕留めてゆく。そんな不審な死亡事故の連続にダークマンの正体はペイトンではないかと疑ったジュリーは、ペイトンに変装したダークマンの後を追い、正体を知っても驚かない、復讐に協力する、と告げるが、ペイトンの生存を知ったルイスは彼女を人質に取ってダークマンに挑戦してきた。ヘリコプターを使って攻撃してくるデュランを倒したダークマンは、高層ビルの建設現場でついにルイスと対決する。壮絶なバトルの末ダークマンは勝利を収めるが、思わず駆け寄るジュリーに彼は、「仮面をつけると中身まで変わる」と言い放つや、真のダークマン--誰でもない者になって雑踏の中に消えていった。(KINENOTE)
監督:サム・ライミ
出演:リーアム・ニーソン/フランシス・マクドーマンド/コリン・フリールズ/ラリー・ドレイク
ネタバレ感想
若き日のリーアム兄さんが、超人的な力を得て自分の人生をめちゃめちゃにした奴らに復讐を果たす話。
冒頭のリンチのシーン。リーアム兄さん扮するペイントと助手のヤナギモトは、かなり悲惨な目に合う。1987年のポール・バーホーベン監督の『ロボコップ』で、主人公のマーフィが悪党たちに殺されるシーンも残酷だったけど、この作品の殺害シーンもけっこう酷い。どちらにも共通するのは、被害にあった主人公が実は生きていて、異形の姿に変化しながらも、あらたに得た能力で復讐を果たすところ――と考えると、内容ほとんど同じだなと、今更ながらに思った。
他に同じといえば、悪党を雇っている黒幕が大企業の経営者ってところも同じだ。ついでに、恋人もしくは妻子、どちらも愛する者と、一緒に暮らせてなくなってしまう境遇も同じ。そして、自分は決して、元の肉体に戻れないだろうというところも。
先に世に出たのは『ロボコップ』なので、本作のサムライミ監督が、影響を受けたのだろうか。まぁでも、こういう話ってのはだいたいどれも似たり寄ったりになるのは仕方ないとは思うので、別にパクリだのなんだのと言いたいわけではない。ただ、今回の鑑賞で、類似点が多いなと感じたってことを、言いたいだけ。
にしても、よくよく考えてみたら、ペイトンって恋人の仕事のとばっちりを受けてあんな目に合ってるんだから、本当に気の毒。恋人がその点について一切触れず、謝罪の言葉がないのは、酷くないですかね。
てなことで、内容はいろいろ突っ込みたい部分も多いんだけど、若き日のリーアム兄さんが拝めるし、B級テイストで楽しめる作品である。特にいいのが、人工皮膚を使って変装し、自分をひどい目に合わせた悪党どもを一人ずつ始末していくところ。なかなかギャグなテイストも感じて、その展開が繰り広げられる中盤あたりが一番楽しめた。
コメント