コンプライアンス 服従の心理
あるファストフードに警官を名乗る男から電話が。なんでも従業員に窃盗犯がいるということで、店長は男の指示に従い従業員の身体検査をすることにーー。実際に起きた話とは思えないような出来事で、観ているとイライラするし胸糞悪くなってくる作品。ネタバレあり。
―2012年製作 米 90分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:2004年にケンタッキーで、警察官を名乗る男からの電話をきっかけに、窃盗の濡れ衣を着せられたファーストフード店の女性従業員が裸にされる事件が発生。この事件を元に、善悪の判断を越えて権威に服従してしまう人間心理を描いたドラマ。出演は「父親たちの星条旗」のアン・ダウド、「グラン・トリノ」のドリーマ・ウォーカー。(KINENOTE)
あらすじ:アメリカのあるファーストフード店。朝からトラブル続きの金曜日、店は賑わいを見せていた。そこへ警察官を名乗るダニエルズ(パット・ヒーリー)という男から1本の電話が入る。彼は店長のサンドラ(アン・ダウド)に、女性店員ベッキー(ドリーマ・ウォーカー)に窃盗の疑いがかかっていると告げ、彼女の身体検査を命じる。警察官の言うことなら……と、その指示に忠実に従うサンドラ。しかしこれは、その後数時間に渡って行われる“信じがたい行為”の始まりにすぎなかった……。(KINENOTE)
監督・脚本:クレイグ・ゾベル
出演:アン・ダウド/ドリーマ・ウォーカー
ネタバレ感想
UNextで見つけて何となく鑑賞したら、実に胸糞悪い話で、観てるとイライライライラしてきちゃう内容だったなぁ。しかもこれ、実話を基にした話だってんだからねぇ。マジかよ。
鑑賞後に調べてみたら、ストリップサーチいたずら電話詐欺って言う名前でWikipediaに載ってた。読んでみると、この作品で描かれてることとほぼほぼ同じ事件があったらしく、しかもこの犯人は他にも同様の事件を起こしていて、それらについても記事では触れられている。
さらには、今作で描かれた事件後、被害者=ベッキーのその後、犯人がどうなったか、店長のサンドラやその婚約者がどうなったかが紹介されてて、今作そのものよりも事件の全容がわかる感じになってる。それを読むとさらに胸糞悪くなっちゃうし、何とも恐ろしい話だなぁと思わされた。
この物語って、鑑賞している人間からしてみると、何でそんなインチキ臭い電話に騙されて、言われるがままに従っちゃうんだよーーと思わされるような行動ばかりを登場人物たちがしちゃってて、唯一まともに対応したのが、最後に犯人の電話に出ることになったオッサンのみ。
店長なんて、いくら忙しいとはいえ店長としても人間としてもクズな対応をけっこうしてて、その婚約者もどうかと思う行動をかなりしちゃってる。彼はその後、自分のやってしまったことを悔いている描写があったけども、この人はWikipediaによると、事件後に性犯罪者としてムショ送りになったみたいね。しかもなんと、真の犯人のほうは、いろいろあって無罪になっちゃってるんだって。コワっ。
もちろん、ベッキーを裸にしてお尻ぺんぺんしちゃってる時点でオッサンはアウトなのは間違いないんだが、店長もオッサンもそのほかの人も、おかしいと思うことにどうして従っちゃうのか、その辺が謎。店長は上司に電話で事の真意を確認するチャンスはあったし、そもそも、警察に問い合わせてみることだってできたはずだと思うのになぁ。
でも、こいつらバカだろと思いながら鑑賞してた自分だって当事者になったらどうなっちなもうのか、それはわからん。にしても、犯人がかなりの変態野郎で、警官を装って嘘電話かけて、電話口のむこうの女性に性的な嫌がらせをするっていう倒錯した趣味の持ち主。なんとも回りくどいことして楽しんでるわけで、そこに性的興奮ってあるんだろうか。
しかもこの犯人、家族持ちの人間だったってことで社会的には普通の生活してたってところがまた何とも恐ろしい。変態ってのは何食わぬ顔して日常生活をしているわけですな。
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