僕だけがいない街
漫画原作は未読。時間移動系の作品が好きなので鑑賞。この作品の時間移動はずいぶん主人公にとって都合のよい感じだし、つっこみどころも多いけど、お話の展開自体はそれなりに楽しめる。ネタバレあり。
―2016年公開 日 120分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:『マンガ大賞』や『このマンガがすごい!』に2年連続ランクインした同名ミステリー漫画を、「ツナグ」の平川雄一朗監督が映画化。悪い出来事を止めるまで時間が巻き戻る売れない漫画家が、18年前に起きた児童連続誘拐事件に向き合う。時空移動(タイムリープ)に巻き込まれ幼少期をやり直す売れない漫画家を「藁の楯 わらのたて」「DEATH NOTE デスノート」の藤原竜也が、凶悪犯に命を狙われる女性を「ビリギャル」「ストロボ・エッジ」の有村架純が演じる。(KIENOTE)
あらすじ:藤沼悟(藤原竜也)は漫画家としてなかなか売れず、アルバイトをして生計を立てている。彼には普通の人とは違うところが一つあった。それは、何か悪い出来事が起こると時空移動(タイムリープ)し、原因が取り除かれるまでその時間が繰り返される『再上映(リバイバル)』が起こることだった。やがて藤沼はあることをきっかけに、彼がまだ小学生だった18 年前、母が犠牲になった児童連続誘拐事件と向き合うことになる。(KINENOTE)
監督:平川雄一朗
原作:三部けい(「僕だけがいない街」(株式会社KADOKAWA/角川コミックス・エース))
出演:藤原竜也/有村架純/及川光博/杉本哲太/石田ゆり子
ネタバレ感想
冒頭に紹介したように、物語自体は最後まで興がそがれずに鑑賞できるので、楽しめた。
ただ、鑑賞中に真犯人の予想がついちゃうのはちょっと残念。あと、漫画原作の邦画を観てる時にたまに思うんだけども、いかにも漫画っぽいセリフまわしや演技だなぁと感じることがあって、観ているこっちのほうが恥ずかしくなることがある。
今作では演技が大げさに見える藤原竜也だからか、余計そういうシーンが目についた。あと、子どもたちの演技についても上手だなぁとは思うものの、やっぱり観ていると恥ずかしい気持ちになるのはなんでなんだろうか。
なんか文句ばかりになりそうだがこのまま続ける。
主人公が戻る過去は、俺が小学生を過ごしたのと同じ年代であることに鑑賞中、気付いた。その俺の感覚からすると、街の雰囲気とかは当時を思わせるものの、子どもたちの日常がなんか古臭く感じた。もう少し、テレビゲームとか流行ってた食玩とかが小道具的に出てくるだけでも大分印象は変わったと思う。過去シーンの舞台は北海道だったようなので、多摩地区とはいえ都内生まれの俺と多少環境が違うのはわかるんだけど。
で、この物語の主人公は、何かがきっかけになって、生きる時間が巻き戻ることがあるらしい。それは偶然起こることなので、自分では巻き戻しを決められない。彼はこの巻き戻し現象によって、母親を殺された事件の真相を究明することになる。その後、何度か過去と現在を行き来して、最終的に真犯人と対峙して事件を解決に導くわけだ。
それはいいんだけども、最後のほうで、子ども時代の彼はずいぶん高いところにある橋から真犯人によって投げ飛ばされている。どう考えても死ぬだろうと思ってたら、時間がもとに戻って病院で目覚める。
すると、目の前には本来の彼の世界では死んでいたはずの女性が生きていて、彼を看病しているのだ。つまり、過去が変わったのである。それはいいんだけど、あの高さから放り投げられてて、どうやって生き残ったのか説明がないのはよくないと思うなぁ。都合よく記憶にも残ってないみたいな感じだったし。
で、もっとおかしいなと思うのは、過去を変えたことによって主人公の生活もかなり変化している。食えなかった漫画でけっこう食えるようになっているし、ピザ屋でのバイトはしてないことになっているので、有村架純と出会っていないことになっている。
それなのに彼は、本来あったはずの過去に対して何の悔いも残していないのか、それについて違和感も抱いていないのである。これって、本編とはまったく関係のないことなんだけども、どう考えてもおかしい。
自分の歩んできた足跡がなきものとして、別の歩みをしてきた現在に生きる彼の頭に残る思い出は、どんなものなんだろうか。本来生きてきた過去に対する愛着はないんだろうか。もし、本来の記憶がないなら、現在の彼は何者なのか? その辺の描写がスルーされていると、どうも納得がいかなくなってしまうのである。
ちなみに、そうしたことに言及したタイムリープ作品には、乾くるみの『リピート』という小説がある。映画作品では『リピート』ほどに、俺が指摘したことに対して触れている作品は少ない。思いだされるのは、記事末の作品で少しあったくらい。興味ある方はそちらの記事を参照ください。
てなことで文句ばっかりになってしまったけども、内容自体はとても楽しめた。特にいいのは、石田ゆりこがとてもキレイなのと有村架純がものすごく可愛いところ。演技はおいておいて(笑)、この作品の2人はとてもよかった。
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