フローズン・タイム
不眠症になったのをきっかけに時が止められるようになった画家志望の青年が、自分の美を追求していく中で、目当ての女性をゲットしようとするお話。ネタバレあり。
―2008年公開 英 102分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:フォトグラファー出身の新人監督が描くラブストーリー。主演は「ハリー・ポッターと秘密の部屋」のショーン・ビガースタッフ、「戦場のピアニスト」のエミリア・フォックス。監督はフォトグラファー、ショーン・エリス。本作が長編映画処女作となる。(KINENOTE)
あらすじ:美大に通うベン(ショーン・ビガースタッフ)は、ガールフレンドのスージーと別れた。自ら別れを告げたにも関わらず未練たらたらのベンは、幼なじみのショーンに相談する。しかしショーンは「モデルと付き合えばスージーが対抗心を燃やしてくる」などと気楽なことを言うばかりだ。耐えられなくなったベンは、「やり直したい」とスージーに連絡を取るが、逆に新しい恋人の存在を聞かされ、ショックで不眠症に陥ってしまう。仕方なく24時間営業のスーパー・マーケットで深夜のバイトを始めたベンだが、そこはダメな若者たちの吹き溜まりだった。スーパーをゲームセンターと勘違いしている二人の同僚。ボスであることに必要以上の誇りをもつ店長。カンフーの身のこなしを崩さないブルース・リーおたく。そして時間恐怖症で紅一点のレジ係、シャロン(エミリア・フォックス)。やがて2週間も不眠が続いていたベンの頭は限界を超え、店長の罵声も遠くから聞こえるようになってくる。そしてベンの意識に異変が起こり、突然、周囲の世界がフリーズしてしまった。動いているのは自分の時間だけだ。時間の止まった世界の中で、夢中になって美しい女性たちをデッサンし始めるベン。そんなある時、ベンはふとした瞬間のシャロンの横顔から目が離せなくなってしまう。新たな恋の始まりは、普段は気づかないような一瞬の間に隠れていたのだった……。(KINENOTE)
監督・脚本:ショーン・エリス
出演:ショーン・ビガースタッフ/エミリア・フォックス/ショーン・エヴァンス/ミシェル・ライアン
ネタバレ感想
適当なあらすじ
自ら望んで彼女を振ったくせに、相手のことを忘れることができずに不眠症になっちゃった画家志望の男(ベン)。
不眠症がきっかけでなぜか時を止められるようになった彼は、自分が働いているスーパーの女性客の服を脱がしては、デッサンをするようになる。
ベンは幼い頃の体験をきっかけに、女性の美のとりこになり、それを表現できる画家になることを目指している。であるから彼は、授業でデッサンするモデルが男だと、描きたくないのである。モデルそっちのけで、モデル越しで対面に座っている女性を描いてしまうのだ。そのくらい、女性の美にこだわっている。
そういう画家志望学生のベン、ある日からバイト先のレジ係の女性(シャロン)が気になり始めた。時を止めたときに、一見地味に見えたシャロンの輝く瞬間を見出したからだ。あまりにも美しく感じたのか、シャロンのことを好きになってまう。
そして、いろいろやっているうちに運よく画家になって彼は個展を開けた。どうしてそんなに成功したかというと、惚れた女の美を見事に表現した作品を創作し、それが認められたからだ。シャロンは、誤解があっていったんはベンをあきらめていたが、自分が本当に惚れられていることを知って付き合うことにした。おしまい――というのが適当なあらすじ。
ベンにさほど共感できない
なんというか、全体に流れる雰囲気とかは悪くないんだけども、別に面白くもなかったかな。俺が主人公のベンにあまり共感できるところがなかったからだと思われる。そもそも、自分で相手を振っておいて、その元カノ(スージー)のことが忘れられなくて不眠症になっちゃうとか、どんだけバカなんだよ。
ベンがスージーをふった理由は、おそらく自分に自信がなかったからだと思われる。俺にはそのように見えた。スージーはベンの別れ話に激怒して、別れることに。そんですぐに別の男をつくるんだけども、物語終盤で、実はまだベンに気が合ったらしく復縁を迫るーーんだけど、なんでそんなことが起きるんだよ、納得がいかん。
シャロンはなぜベンが好きになったのか
まぁでもそれは物語の盛り上がり的に必要なことであるような気もするので、いいとする。ただ、ベンはまだしも、こいつとハッピーエンドを迎えることになるシャロンは、なんでベンのことが気に入ったんだろうか。その辺がわからない。
ベンがシャロンを好きになったのは何となくわかる。時間を止められるようになってから彼女のことを眺めていたら、自分の思う美を彼女の中に見つけたからだ。彼女の輝く部分を見つけたからこそ、好きになったんである。ところが、シャロンがどうしてベンに惹かれたかはよくわからん。
ーーと、考えるとこの映画は恋愛映画ではないのかもしれない。では何映画かというと、青春映画にしては周囲の奴らの掘り下げが少なく、中途半端なキャラばかり。ベンのバイト仲間のカンフー野郎はなかなかコミカルで面白いんだけども、登場人物として必要かどうか疑問に思っちゃうくらいの活躍しかしない。その他のバイト仲間の2人組とかもそう。こいつらとはさしたる交流をせずに物語は終わる。
別に映画をジャンル分けする必要なんてないんだけど、この作品の目指すところが何だったのか、俺にはようわからんかった。
ちなみに、自分が時を止められたらやってみたいことを想像してみたら、俺のやりたいことは大体が犯罪行為だった(笑)。それを考えるとこの物語の主人公のベンは、なかなか純粋無垢な人間であるのかもしれない。だとしたら、俺が彼に共感できなかったのは当然である。なんせ、虞犯的人間であり、薄汚れた偽善者だから(笑)。
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