ベイルート
ネットフリックス配信作品。レバノンという土地の歴史や周辺諸国とのしがらみって、かなり複雑なので、なかなか頭に入ってこない。そんなときには、こうした映画を観るのが理解の一助になる。ネタバレあり。
―2018年製作 米 109分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:『ベイルート』(Beirut)は、2018年にアメリカ合衆国で公開されたスリラー映画である。監督はブラッド・アンダーソン、主演はジョン・ハムとロザムンド・パイクが務めた。日本国内では劇場公開されなかったが、2018年6月15日からネットフリックスによる配信が開始された。(wikipedia)
あらすじ:1982年、レバノンは内戦状態にあった。そんな中、アメリカの政府職員(カル)が武装勢力に拉致されるという事件が発生した。CIAは直ちに人質の救出に取りかかったが、事態は一向に好転しなかった。そこで、元外交官のメイソン・スカイルズがグループとの交渉役に抜擢されることとなった。スカイルズは家族を殺されたことがきっかけで一線を退いていたが、友人が誘拐されたことを知り、現場に復帰する決意を固めたのである。交渉の中で、武装集団はカルの身柄引き渡しと引き替えにカリームというテロリストの解放を求めてきた。その男はスカイルズの家族を殺した張本人でもあった。スカイルズは友人の命を助けたいという思いと復讐への思いで引き裂かれることとなった。 (Wikipedia)
監督:ブラッド・アンダーソン
脚本・製作:トニー・ギルロイ
出演:ジョン・ハム/ロザムンド・パイク/ディーン・ノリス/ラリー・パイン/シェー・ウィガム
ネタバレ感想
冒頭で理解の一助になる――とか偉そうに書いてみたものの、やっぱりレバノン周辺の現状とか歴史ってなかなか覚えられないし、俺にはぜんぜんわからない(笑)。
わからないけども、この作品自体に難しさはない。人物たちの相関関係も頭に入ってきやすいので、筋を追っていれば楽しんで劇終を迎えられる。フィクションなので都合よい展開や設定に感じるところもあるけども、良質な社会派サスペンスとして楽しめた。
スカイルズがレバノンの大使館で外交員として働いていた頃、少年カリームをかわいがって、パーティのウェイターみたいにして働かせていた。しかし、カリームの兄貴は名の知れた過激派? だったらしく、CIAとかの摘発対象だったらしい。
それが発覚したことでまぁいろいろあるんだけども、少年カリーム自身はあの時点では、スカイルズ夫婦を慕っていたわけで、兄貴のことは大事にしていたんだろうけど、あのままアメリカナイズされた生活を送ることを悪くないというか、チャンスと思っていたんではないかと思われる。
それが図らずも、兄貴が助けにというか、連れ戻しに来てくれちゃったおかげで、10年後には武装集団を率いる立派な戦士になってまうのである。その辺はなかなか悲しいのであるが、育つ環境ってのは人をどのようにも変えるんだなって思うと、残酷であるし、厳しい現実だなと思わされる。
この作品においては、スカイルズと彼を支援する女性(ロザムンド・パイク)はまっとうな考えの持ち主で、自分の従事している職務において、全うすべきことを全うしようという信条にのっとって仕事をしている人たちだ。
いっぽう、拉致されたカルと組んで仕事をしていたというスパイのおっさんや、大佐(確か)と呼ばれてた人は、無能ではないんだけども、自分のために仕事をしている輩のようで、本当に困っちゃう。
アメリカのエリートが集まる組織で働く人たちは、こうやって海外のいろいろのことに首を突っ込んで、世界の秩序云々という大義名分のもと、アメリカの国益を守るために働いているわけだが、彼らにとっては国のための仕事というそれすらも大義名分であって、結局は、派遣された土地で自身の権力や影響力に溺れて手前勝手な行動を取り始めるのである。
まぁそれが人間らしいっちゃ人間らしし、なまじ地頭がいい奴らだから、他者への迷惑のかけっぷりの規模も半端ないわけで、実に全く本当にもう、困ったもんである。というすごく頭の悪い感想を述べているが、作品自体はとても楽しめた。
コメント