なぜ君は総理大臣になれないのか
―2020年公開 日 119分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:「園子温という生きもの」の大島新が衆議院議員・小川淳也を17年間撮影したドキュメンタリー。2019年の国会で統計不正を質し、注目された小川は、2003年、民主党から初出馬した。その無私の姿勢に惹かれた大島は、事あるごとにカメラを向けてきた。(KINENOTE)
あらすじ:2019年の国会で統計不正を質し、SNSで注目を集めた衆議院議員・小川淳也、49歳。彼が32歳だった2003年10月10日、衆議院解散の日、民主党から初出馬する小川にカメラを向けると、「国民のためという思いなら誰にも負けない自信がある」と真っすぐに語った。2005年に初当選し、2009年に政権交代を果たすと「日本の政治は変わります。自分たちが変えます」と語り、リベラル・保守双方の論客から、見どころのある若手政治家と期待されていた。しかし、いくら気高い政治思想があっても、党利党益に貢献しないと出世できず、選挙区当選でなければ発言権も弱い。小川の地元である香川1区の対抗馬は、地元有力メディアである四国新聞や西日本放送のオーナー一族で、強固な地盤を持つ自民党の平井卓也だった。そのため、惜敗しては敗者復活の比例当選を繰り返してきた小川は、権力への欲望が足りず、家族からも政治家に向いていないと思われていた。2012年からの安倍政権下では我慢を強いられ、2017年の総選挙では、希望の党への合流を決断した前原誠司の最側近として翻弄されていく。小池百合子代表への不信感から無所属での出馬を検討するが、前原や地元の盟友・玉木雄一郎への仁義というジレンマを抱え、苦悩は深まる。背水の陣の選挙戦に、小川はどう挑むのか……。(KINENOTE)
監督:大島新
出演:小川淳也衆議院議員
ネタバレ感想
選挙カーはうるさい
なんとなく気になってた作品が、ネットフリックスで配信されてたので鑑賞。衆議院議員・小川淳也氏を17年間にわたり撮影したドキュメンタリー映画。支援者や家族と一緒に選挙活動を頑張る姿などは、なぜか見ていて泣けてきて、実際に落涙してもうた(笑)。
選挙期間になると糞ウルサイ選挙カーが街を走り回ってて、こんな糞みたいな活動やめればいいのになんて思ってたが、やってる本人たちもそう思っているフシがあることを、この作品を通じて知った。
それでもなぜあれがなくならないかと言えば、この作品の舞台となる田舎町などでは、人が密集していないわけだから自分たちでガナリたてながら言葉を発するしかないんだろうなということは想像できる。
政治家と政治屋
でまぁ、この作品はタイトルどおり、なぜ小川氏は総理になれないのかということがよくわかる内容で、要するに彼は、政治家として真っ当すぎるということだ。腹黒い政治屋たちは、国民のためが第一ではなく、自分の立場やら利権を守るために政治活動をしているんであり、対してこの小川議員は国民の代弁者たらんとし、政治屋集団の中では仁義などを守らんと行動し、結果としてそれが裏目に出て、不遇を囲っているような感がある。
清濁併せ呑む度量ってのが政治家には必要なんだろうが、この人はそういう感じではない。では、他の奴らがどうかと言えば、そんな度量も志もあるように見えない人ばっかりであって、であるから彼のほうがマトモには見える。
そんな彼を両親たちは「政治家に向いてないかも」と言いつつも、支援してやっているわけだ。あの架電のシーンなどは、俺だったら絶対にやりたくねぇなと思うんだけど、どのくらいの効果があるんだろうか。
権力の組織票で決まる、ままならん世の中
彼の目指すところは非常に真っ当で、真っ正直で、信条の違いこそあれど、すべての政治家がこのように活動してくれりゃあ、少しは政治にも期待できるんだろうなと思わされる部分は多々ある。彼の選挙区の対立候補たる自民党のオッサンは、地域の有力メディアの家系に所属する人間であり、金もあるだろうし、かなりの組織票が得られるんだろう。
こういう、そもそも力を持った奴らをバックに持って戦ってる奴らは、その支援組織のために政治をするんであって、まぁその組織の人たちも国民であろうから、国民のために政治をしていると言えるんだが、俺のようなボンクラ一般庶民からしてみれば、ふざけた存在にも思えるわけで、ともかくまぁ、この世はままならんのであるなぁと思わせる作品であった。ディストピア。
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