シチリアーノ 裏切りの美学
―2020年公開 伊=仏=独=伯 152分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:第68回ヴェネツィア国際映画祭にて栄誉金獅子賞を受賞したマルコ・ベロッキオ監督が、マフィアの掟を破ったパレルモ派の大物を描いた伝記ドラマ。犯罪組織コーザ・ノストラに失望したブシェッタは、信頼するファルコーネ判事に組織の罪を告白する決心をする。主演は「修道士は沈黙する」のピエルフランチェスコ・ファヴィーノ。政府に寝返ったブシェッタを描いた本作は、イタリアのアカデミー賞と呼ばれるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞にて作品賞など6部門を受賞。第72回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品作品。第92回アカデミー賞国際長編映画賞イタリア代表作品。(KIENOTE)
あらすじ:1980年代初頭、シチリアでマフィアの全面戦争が激化。抗争の仲裁に失敗したパレルモ派の大物ブシェッタ(ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ)はブラジルに逃れたものの、残された家族や仲間達が報復を狙うコルレオーネ派により抹殺された。ブシェッタはブラジルで逮捕され、イタリアに引き渡されることに。そしてマフィア撲滅に執念を燃やすファルコーネ判事(ファウスト・ルッソ・アレシ)から捜査協力を求められる。ブシェッタは麻薬と殺人に明け暮れ堕落した犯罪組織コーザ・ノストラに失望しており、コーザ・ノストラの血の掟に背き、固い信頼関係で結ばれたファルコーネに組織の罪を告白する決意をするが……。(KINENOTE)
監督:マルコ・ベロッキオ
出演:ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ/ルイジ・ロ・カーショ/マリア・フェルナンダ・カンディド
ネタバレ感想
マフィアを題材にした映画は好きだし、これはマフィア中のマフィア、シチリアのコーザ・ノストラの話で、さらに実話を基にしているときたら、期待は高まらずにおられん。が、劇場では観れず、レンタル待ちしてて、ようやく鑑賞できた。
で、内容なんだけども、知らない役者さんたちが覚えづらいイタリア名でわんさか出てくるので、前知識がないと、なかなか理解が大変な作品であった。
まぁでも大筋は、主人公でパレルモ派の組織に所属していたボスの一人、ブシェッタが、親族を殺されるなど敵対組織であるコルレオーネ派との抗争に疲れ、コーザノストラにおいて絶対であった血の掟が機能していない昨今の状況に失望、組織の罪を告発する側に回り、その顛末を描いた作品ということだ。
ブシェッタは組織に命を狙われることを覚悟で判事たちに協力することで、いろいろありながらも敵対組織の大物らをムショにぶち込むことに成功した。しかし、彼は彼で犯罪歴があり、人殺しもしているわけで、そういう人が政府の保護を受けて今でも生き残っているというのは、考えようによっては理不尽な話ではある。
ともかく、感情移入がしづらい主人公なのに、彼を取り巻く人間関係などの詳細がほとんど説明されないので、彼の行動が何に基づくものなのか推測がしづらく、物語に没入するのが難しい。そんで、どんどんどんどんと話だけは進んでいくので、先に述べたように大筋はわかるものの、その間にある展開に心が動かされないし、ともかく話についていくのに必死になっていたら劇終を迎えた。
もう一度、理解のために鑑賞したいとも思わない。裁判所でのシーンはこの作品の見せ場になってて、確かにそうなんだけども、ブシェッタがどれだけ重要な証言をして、それにより敵対組織の大物たちの罪をどう明るみにしたのかとかが、描かれていないように感じた。だから、単にブシェッタと敵の大物が口喧嘩してるだけにしか見えなかったのが残念。
せっかく大事件を題材にしてるんだから、もう少し丁寧に創作してくれてもよかったんではないかと思ってしまった。
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