アナザー
ちょっとした高級車を乗り回すチャンスを得た冴えない女性が、行く先で自分と同じ姿をした人に会ったと地元の人たちに指摘され、アイデンティティ疑い始めつつ、その謎に迫る映画。ネタバレあり。
―2016年 仏・伯 94分―
解説とあらすじ
解説:自分にそっくりな女を発見した主人公が、殺人事件に巻き込まれてしまうミステリーサスペンス。新宿シネマカリテの特集企画『カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2016』にて上映。(KINENOTE)
あらすじ:新車でパリから南仏を目指す旅に出た美女・ダニー。しかし、行く先々で出会う人々がなぜか昨日彼女を見たと言い、身に覚えのない殺人事件に巻き込まれ…。(KINENOTE)
予告・スタッフとキャスト
(SPICE movie)
監督:ジョアン・スファール
出演:フレイア・メイヴァー
冴えない美人っているのか?
まず、社長秘書みたいな仕事をしている主人公の彼女、肌がちょっと残念だが、美人かブスかと言われれば美人の部類。そして、脚がきれいで衣装がエロい(笑)。だから男たちは好奇の目で彼女を見ざるをない。
そんな女性が冴えない日々を送っていること自体がリアルじゃない気がする。で、いろいろあって、高級車を盗んだ? 彼女は未だ訪れたことのない、海を目指す。これまでの地味な生活から解放されて、(エロい)オシャレをしてウキウキ気分で旅立つものの、先々で、「昨日、あんたを見た。会話をした」と言われて不気味な気分に。
で、ホテルで知り合った男とハメはずしてハメちゃったりするんだが、自分の記憶に疑いを持ったり、知り合った男の謎めき度に疑いを持ったりしつつ、不穏な方向に人生が狂い始めていく。
謎めかせておいて、大した話ではない
観ているほうとしては、ホラーめいたドッペルゲンガーものか、二重人格ものかと想像を働かせなくもないのだが、よくよく考えてみると、冒頭に出てくる主人公の上司でもある社長とその妻の言動が怪しすぎるわけで、ネタバレすると、この2人、というか社長が主人公をはめようとしていたのである。
というのも、社長の妻、この妻は主人公の知り合いでもあるのだが、社長つまり旦那以外の男と浮気をしていて、証拠に写真を撮られちゃうのだ。で、怒った社長がその男を殺害し、策を弄して主人公の女性に罪を着せようとする話なのである。
オイオイオイオイ
結局そんなオチかい。だったら思わせぶりに主人公の回想シーンとか未来のビジョンとか入れるなよ。ややこしいだけ、思わせぶりなだけ。アホか。
偶然に頼った糞映画
しかも、妻を主人公と同じファッションにさせて、前日にアリバイつくりのためにいろいろやらせるわけだが、それと同じ道中を主人公が同じ服を着て後から進むのは単なる偶然なのである。
オイオイオイオイ
そんな偶然あるかよ。アホか。自分と同じ人間が前日に姿を現していて、そこにミステリー要素があることが重要な話で物語の軸なのに、そのシチュエーションを現出したのが、単なる偶然なのである。物語の肝の部分を偶然という設定にしているのである。そら話全体もつまらなくなるわ。
ということで、ベルギーとフランスの合作らしいが、雰囲気はフランス映画のシャレた感じやアンニュイさはあるものの、DVDジャケットのようなホラーめいた感じは一切ない、中途半端な雰囲気オシャレ作品であった。要はジャケット詐欺映画です。これはジャケットをつくった側の問題ではあるのだが。
ちなみに、社長を演じている役者はどことなくベニチオ・デル・トロに似ていた。あと、泥棒の男は、一瞬ではあるものの、目が若き日のロバート・デ二―ロを思わせた。バッタもんであり、パチもん、つまり偽物感満載のつまらない映画でした(笑)。
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