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映画 ローライフ ネタバレ感想 モンストルを継ぐのは誰か

ローライフ
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ローライフ

冒頭のモンストル登場シーンが違和感ありまくりで、何だこの映画!? と戸惑っているうちに、錯綜する物語展開の中で無駄のない説明が挿入されており、鑑賞後はスッキリできる佳作。ネタバレあり。

―2018年公開 米 96分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:撮影期間18日間、$250万という低予算で制作され、2017年カナダで開催されたジャンル系映画祭・ファンタジア国際映画祭にて審査員特別賞ほかに輝いた犯罪ドラマ。監督は本作が長編映画初作品となるライアン・プロウズ。特集『カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2018』にて上映。(KINENOTE

あらすじ:貧困と犯罪がはびこる辺境の街。臓器売買やドラッグ売買などが横行する中を生きる覆面レスラー、ライフルを手にした主婦、顔に鉤十字のタトゥーを入れた男ら悪党たちの人生が交差する。(KINENOTE

監督:ライアン・プロウズ
出演:ニッキー・ミッチョー/リカルド・アダム・サラテ/マーク・バーハム/ジョン・オズワルド/シェイ・オグボルナ/サンタナ・デンプシー/ホセ・ロゼテ

ネタバレ感想

何ともヘンテコな映画。このヘンテコさを支えているのは狂っているとしか思えないモンストルという男の存在だ。

正義感溢れる覆面レスラーは、怒りに我を忘れると耳が聞こえなくなるくらいに大声で叫び、相手をぶちのめしてしまう。

しかし、この怒るときの理由がなんとも独りよがり。怒りの感情なんて独りよがりなもんだが、彼は尊敬する亡父の教えを忠実に守って生きることしか頭にない。であるから奥さんとの間にもうけたそろそろ生まれてくる子どもの育て方に対しても、自分の考えを押し付けようとする。

ところが恩のあるらしいテディという悪党に対しては従順で、女性を攫っては売春婦として使うだけでなく、殺して臓器を売りさばくという鬼畜な仕事を手伝っている。

モンストルには正義の心はあるものの、悪事を働くボスの行動に目をつむり、むしろ共犯者として暮らす生活をしている。そして前述のように、彼には父の教えを守ることしか頭にないので、自分自身の考えというものがない。

そんな男がテディに売春婦として使われていた女を妻とし、その奥さんが妊娠したことにより、生まれてくる息子をモンストルの後継者とする願望を果たすためにジタバタすることに。

そこへ、金のために自分たちの娘(後のモンストルの奥さん)をテディに売り飛ばしたことを後悔している両親や、テディの会計士として働く黒人男、彼の親友で出所したての顔面鉤十字の白人男が絡むことで物語が展開していく。

いろいろあって最後は白人男がモンストルの意志を継ぐことになって物語は終わる。細部は書くのが面倒なので端折る(笑)。

ともかく、冒頭のモンストルの狂いっぷりが違和感ありまくりで、何だこの映画!? と戸惑っているうちに、錯綜する物語展開の中で無駄のない説明が挿入されており、鑑賞後はスッキリできる佳作だと感じた。

ともかく出てくる人物がどうにもまともではない。ないんだけども、タイトルに示されるようにローライフ(下層社会)で生きざるを得ない人間たちの背景がわかるように描かれているので、それぞれの人物はまともではないものの、各々の行動原理は見て取れる。そして、まともでないものをそれなりに楽しんで観られるところにこの作品のよさがある。

一点だけもったいないと思ったのは、会計士の男は顔面鉤十字白人の彼を親友だと思っていたのかがわからないところ。

鉤十字は会計士をかばってムショで3年間も臭い飯を食っていて、その間に自分の好きだった女は、こともあろうか会計士と結婚して子どもまでもうけているのだ。しかも子どもが生まれたのは鉤十字がムショに入った年。

会計士はテディの金を横領したことがバレていて(これが明かされるのは終盤)、自分と妻子の身を守るために出所した鉤十字にテディを脅すように頼む。

しかし鉤十字はテディの恐ろしさを知っているので、そんなことはできない。とは言え友人を見捨てるわけにはいかないので何とか逃げ道をつくるために手助けをしてやるのだ。

と、考えるに鉤十字はいい奴なのだ。友達思いだ。一方の会計士は彼を利用しているだけの嫌な奴にしか見えない。会計士は結局死んでしまうわけだが、その後、彼の妻子はどうなるのか。

俺が勝手に考えたのは、鉤十字は会計士の奥さんとムショに入る前に関係を持っていて、つまり生まれた子どもは鉤十字の子どもであって、会計士は借りのある鉤のために彼の妻子を養ってやっていたのだ――というような設定があれば、2人の関係に友情があったことがわかり、より良かったのになと思った。

まぁしかし、そういうことを描きたい話ではないんだろうし、それは抜きにしても短くまとまっていてなかなか楽しめる作品でした。

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