サイレンシング
5年前に娘が行方不明になっちゃったのが原因で妻と別れ、アル中になっちゃった野生保護区の管理人のオッサン。ある事件をきっかけに、保護区内でマンハントをしている男と対決することになる。それなりに面白い展開で最後まで飽きさせないがラストが何とももったいない作品。ネタバレあり。
―2019年製作 加 93分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:ニコライ・コスター=ワルドー主演によるサスペンススリラー。野生動物保護区の管理をしているレイバーンは、5年前の誘拐事件でひとり娘を亡くして以来、アルコールに溺れ失意の日々を過ごしていた。そんなある日、少女の遺体が川で見つかり…。(KINENOTE)
あらすじ:野生動物保護区の管理をしているレイバーンは、5年前の誘拐事件でひとり娘をなくして以来、アルコールに溺れ失意の日々を過ごしていた。ある日、少女の遺体が川で見つかり、凶器の狩猟用の弓矢が発見される。そしてレイバーンの監視カメラには狩猟用スーツを着た人物が少女を弓矢で追っている姿が捉えられていた。レイバーンは娘の誘拐事件とのつながりを感じ、殺人事件の犯人を追う。(Amazon)
監督:ロビン・プロント
出演:ニコライ・コスター=ワルドー/アナベル・ウォーリス/ヒーロー・ファインズ・ティフィン/ザーン・マクラーノン
ネタバレ感想
レイバーンが管理する野生動物保護区で少女の遺体が見つかる。5年前から娘が行方不明になっていたレイバーンは、もしかしたら自分の娘かと思って保安官に頼んで遺体を見せてもらったら人違いだった。だが、ある日、保護区の監視カメラに謎の狩猟用スーツを着た人物が現れ、どうやらそいつは少女を弓矢でハンティングしているらしい。なんだこの変態野郎は!? とやっつけるべく出動するレイバーン。そのうちに自分の娘の事件との関連性を感じた彼は、保安官や警察とは別行動で独自の捜査を開始。犯人を追っていくのだが――というのが超適当なあらすじ。
Unextで見つけて何となく鑑賞。けっこう面白かったなぁ…途中までは。まず、犯人っぽい奴が何人も出てきて、例えば、アリス保安官の弟のブルックス、ブルックスといさかいを起こしているらしいサム・ムーンブラッド、さらにレイバーンの元妻の現在の旦那で、警察官のブラックホークとかね。
あと、アリスはレイバーンの味方になって、一緒に真相に迫ってくのかと思いきや、ブルックスを守るためにレイバーンに発砲しちゃうような滅茶苦茶な女で、マジであの展開には驚いた(笑)。てな感じに、話がこっちの予想とは違う展開で進んでいくのがよかったね。
そういった展開の中で、ラスト。レイバーンの娘を誘拐及び殺害、さらに、一連の少女マンハンティング事件を起こしていた犯人は、チョコチョコ登場していた、あの医者だったのである! これまた驚きましたな。そこまではよかった。しかしだな、だがしかしだ、この医者がなぜあんな事件を起こしてたのかっていう動機がねぇ…。
犯人のお医者さん、自分の娘が飲酒運転の男に轢き殺されちゃったらしい。気の毒。確かに気の毒。で、そういう「酒に溺れちゃうような人間の娘も、ろくな人間に育つわけがない!」というロジックを組み立て、まずはアル中のレイバーンの娘をさらって殺したというのである! ん…!?
そしてその後も、親がロクデナシな娘を捕まえては声を出せないような手術を施し、森に放して逃がしては、ハンティングをして殺し続けていたのだっ!――てなんかおかしくない?
自分の娘を轢き殺した人に制裁を加えたのかどうか、それともその人はムショ送りになったのか、その辺についての言及はない。ないのである。しかし、まぁそいつのことはどうでもよくて、自分の娘を直に殺したわけでもない関係ない人たちの娘を、あろうことかわざわざ娘を、捕まえては殺しているのである。ややこしいなぁ。アル中殺せばいいじゃん。
しかし、「自分の娘を亡くした親の気持ちは、その立場にならんとわかるまい!」と思っている医者は、その気持ちを味合わせるために、ロクデナシな親ではなく、その娘を殺すのであるーー。わかる。わかった、理解した。でもややこしいだろ。
ということで、このわかりそうで、わからない、――否、わかるんだけどもこのややっこしい動機にちょっと萎えちゃったなぁ。しかもだよ、レイバーンが報復のため、医者を狩猟用の罠にかけて殺すのも納得がいかねぇ。
その前にやることあんだろオマエ。殺す前に娘の遺体がどこにあるのか聞き出せよ! 娘の遺体を見つけて埋葬してやれよ! 何で聞き出す前に殺しちゃうのよ。おかしいだろ。そして、それを黙認してるアリスもおかしい。これは自分がレイバーンを撃っちゃったことを本人からウヤムヤにしてもらった借りがあるからなのかもだが、やっぱりおかしい。
ついでに、レイバーンは医者に肩を矢で射抜かれ、アリスに腹を撃たれてるわけで、けっこうな重症なはずなのに、あれだけ動き回れるのもおかしすぎないかね――などと、途中まで黙認してたことにまで突っ込みたくなるようなラストであった。いや、ラストがというか、犯人の動機が、あまりにも無理やりっぽいところが、どうにも残念。
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