ウトヤ島、7月22日
―2019年公開 諾 97分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:単独犯としては史上最多の犠牲者を生んだ、ノルウェー連続テロ事件を映画化。2011年7月22日。オスロから40キロ離れたウトヤ島でサマーキャンプに参加していた若者たちが次々に殺害された凶行を、実際に事件発生から終息に要した72分ワンカットで映し出す。「ヒトラーに屈しなかった国王」のエリック・ポッペ監督が、キャンプで初めて出会った若者たちが極限の恐怖の中でいかに行動していったかを、実際の生存者の証言に基づいて描く。第68回ベルリン国際映画祭エキュメニカル審査員賞スペシャルメンション受賞作。(KINENOTE)
あらすじ:ノルウェー、2011年7月22日。午後3時17分、首都オスロの政府庁舎爆破事件により8人が死亡。さらに午後5時過ぎ、オスロから40キロ離れたウトヤ島で無差別銃乱射事件が発生。ノルウェー労働党青年部のサマーキャンプに参加していた十代の若者たちなど69人が殺害された。犯人はたった一人。当時32歳のノルウェー人であった……。(KINENOTE)
監督:エリック・ポッペ
出演:アンドレア・バーンツェン
ネタバレ感想
この事件、かなりの惨事だが、当時の報道の内容とか、まったく記憶にない。しかしまぁ、こうやって作品になってから存在を知った事件ってのは俺にはけっこうあって、映画ってのは後付けとはいえ、知識を得る意味でも役に立つもんである。
ということで、このウトヤ島における銃乱射の犯人は、たった一人でこれをやってのけたのだそうだ。調べたところによると犯人は、極右キリスト教原理主義者でウトヤで無差別乱射をするちょっと前に、ノルウェーの政府庁舎への爆破テロを行い、その後、ウトヤに移動してからは、警察官に扮し、島でキャンプをしてた若者たちを銃で殺しにかったんだとか。ウトヤでの殺害人数、69人。ギネス級の無差別殺人者だ。
で、この作品はそのウトヤにキャンプに来ていた一人の女性の視点から物語が描かれている。犯人の姿はシルエットが映るくらいで、彼の存在はほとんどが銃声でしか認識できない。無差別に人を殺しまくっている殺人鬼の存在におびえつつ、いかに生き延びるかに苦心するその姿は、なかなか悲惨な光景ではある。
悲惨であるし、何とも酷い事件なのだが、映画としてこの作品がどうかと言うと、ちょっと退屈だな。若者たちが阿鼻叫喚の地獄の中で必死に逃げ延びようとする様は生々しくリアルではあるものの、ただそれだけの描写が延々と続くのがどうにものめり込めない。
個人的にはここに、犯人の全容がわかる描写などが入ったほうがいいのではないかと思ったが、制作者は意図的にこういう構成にしたんであろうから、そこはもう好みの問題か。別に娯楽的に楽しく観られるようにすべきと言いたいわけではないんだけども、物足りなさを感じたのは確か。
主人公の女の子。ラストであっさりと死んでしまうところは気の毒だ。
ちなみに、ネットフリックスの『7月22日』って作品は、まさにその事件の全容がわかるような内容になっている。
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