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映画 シンプルプラン ネタバレ感想 金の力は恐ろしい

シンプルプラン
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シンプル・プラン

北国の田舎町に住む兄弟とその友だちが、犯罪絡みの大金を発見。なんとか着服しようとジタバタしているうちに、ドツボにハマって取り返しがつかなくなっていく話。何ともバカな人たちだなぁと思いつつも、人生の悲哀も感じられて、けっこう面白いです。ネタバレあり。

―1999年公開 米 122分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:ふとしたことで大金を手にした人々が平凡ながらかけがえのない人生を見失っていく姿を描いたサスペンス。スコット・スミスの同名ミステリー(邦訳・扶桑社海外文庫)の映画化で、脚本をスミス自身が手掛け、監督には「クイック&デッド」のサム・ライミがあたった。製作は「トゥルーマン・ショー」のアダム・シュローダーと「ハムナプトラ 失われた砂漠の都」のジェームズ・ジャックス。製作総指揮は「プライベート・ライアン」のゲーリー・レヴィンソンとマーク・ゴードン。撮影は『Boys and Girls』のアラー・キヴィロ。音楽は「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」のダニー・エルフマン。美術は「アマデウス」のマリア・ヴォン・ブランデンスタイン。編集はエリック・L・ビアソンとアーサー・コバーン。衣裳はジュリー・ワイス。出演は「マイテイ・ジョー」のビル・パクストン、「ジャッキー・ブラウン」のブリジット・フォンダ、「パーフェクト・カップル」のビリー・ボブ・ソーントン、「Uターン」のブレント・ブリスコーほか。(KINENOTE)

あらすじ:アメリカの雪深い田舎町。飼料店に勤めるハンク(ビル・パクストン)は、薄給に苦しみながらも妊娠中の妻サラ(ブリジット・フォンダ)のために黙々と働いていた。大みそか、失業中の独身中年男の兄ジェイコブ(ビリー・ボブ・ソーントン)とその悪友の肥満漢ルー(ブレント・ブリスコー)に父親の墓参りに連れ出されたハンクは、その帰り道、偶然入った森の中で墜落したセスナ機を発見。機内にはパイロットの死体と、なんと440万ドル(約5億円)もの大金があった。ジェイコブとルーはこれが犯罪がらみの金だと決めつけて着服しようと持ちかけ、最初は反対したハンクも結局同意し、彼が責任をもって預かることに。最初は混乱したサラも出産後の生活苦を考えて、着服プランに積極的に関わる。サラの提案で、ジェイコブを誘って金の一部を森に戻しに出向いたハンクだが、狩りのため森に行こうとした近所の老人ドワイト(ジャック・ウォルシュ)を、動揺したジェイコブがバールで打ちすえてしまう。ハンクはジェイコブをなだめ、息を吹き返した彼の息の根を止めて事故死に見せかける工作をした。こうして辻棲あわせのウソが始まった。さらに、借金まみれのルーが金をよこせとふたりを脅迫、ハンクとジェイコブはいきがかりで彼とその妻ナンシー(ベッキー・アン・ベイカー)を殺してしまった。正当防衛が認められ罪には問われなかったふたりだが、ジェイコブは良心の呵責に苦しみ出す。ほどなく、保安官のカールから兄弟に呼び出しがかかる。FBIのバクスターと名乗る捜査官が来て、かつてこの付近で誘拐事件の身代金を乗せたまま消息を絶ったセスナ機について情報を欲しいというのだ。FBI捜査官の正体に不審を覚えたサラは、バクスターが誘拐犯人のひとりということを突き止めてハンクに連絡、身を守るため彼はすきをみて保安官の銃を盗んだ。森の中のセスナ機の前で、バクスターは保安官を殺すが、ハンクに倒された。それを見ていたジェイコブは、なんとハンクに自分も殺して全ての始末をつけてくれと懇願する。兄としての最後の頼みだと迫る彼をハンクは泣きながら射殺した。結局、例の大金は札番号が控えられ、使うことが不可能と判明、ハンクはサラの制止をきかず、金を暖炉で燃やした。だが、彼には平穏な日々はもはや戻らない……。(KINENOTE)

監督:サム・ライミ
出演:ビル・パクストン/ビリー・ボブ・ソーントン/ブリジット・フォンダ

ネタバレ感想

U-nextで見つけて鑑賞。鑑賞中、コーエン兄弟の『ファーゴ』を思い出してしまった。犯罪をする側の人間が、思わぬ展開に見舞われてドツボにはまっていく感じが似てたからだと思われる。

主人公のハンク、兄貴のジェイコブ、ジェイコブの友だちのルー。ハンクは薄給なのに奥さんもいるし子どもも生まれる予定。ジェイコブとルーは無職。彼らの暮らす雪深い田舎町では、儲かる仕事なんてなさそうな感じ。それでもまぁ、日々を何とか生きられてはいたんだが、ある日この3人が偶然、森に墜落したセスナ機に440万$相当の大金が入ってるカバンを見つけちゃう。

後々判明するんだが、この金は誘拐犯が金持ちからゲットしたもので、それを輸送中に墜落しちゃって、ハンクらが発見することになったみたい。

警察に知らせようとするハンクだったが、迷わず着服を企てようとするルーと、それに同調するジェイコブ。乗り気じゃなかったハンクも最終的に金に目がくらんじゃって、条件付き(ほとぼりが冷めるまで自分が金を預かる)でお金着服プランに参加することになるのだ。

この時点で一蓮托生的な関係になった兄弟とその友だち。しかし、ここまでの描写で、彼らがそんな簡単にシンプルプランを成功できないであろうことはわかっちゃう。ハンクは比較的冷静に、大局的に物事を考えてプランを成功に導こうとするわけだが、ジェイコブとルーはアホなので、今にしか生きていない。だから、どう考えてもやっちゃいけなそうなことばかりをやりたがるのだ。

であるから最初のほうは、ハンクが二人の暴走に迷惑をかけられている感じに見える。実際、二人の言動はバカすぎるので、一蓮托生するには心もとないわけで、バカ二人がアホなことをしでかさないようにハンクは苦労するわけだが、この時点ですでに、ハンクもけっこうなクズ人間だということがわかる。なぜなら、自分から他言無用と言ってた癖して、自分は奥さんに大金手に入りそうなことを喋っちゃってるからね。

しかもこの奥さんがなかなか策士というか、これまたクズなことを平気で考える人で、弱気になるハンクを励ましてるうちはまだよかったが、だんだんとこのプランの進行に介入するようになってくるのだ。

でまぁ、ハンクは、地元の爺さんを殺すことになっちゃうし、ルーと彼の妻も殺すことになっちゃうし、保安官も死んじゃうし、FBIに扮した誘拐犯も殺すことになるし、しまいには頼まれたとは言え、自分の兄貴まで殺しちゃうという。何でそんなことできるのかって言うと、それは自分の犯罪がバレないようにするためで、なんでバレたくないかというと、妻子のためであり、なんで妻子のためなのかというと、苦労のない生活をしたいがためで、要するに、金のためだったんである。

最終的に金への執着から逃れられたのはジェイコブだった。なぜかというと、金を得るために重ねてきた数々の罪により自責の念にさいなまれちゃって、心がパンクしちゃうのである。それを見るに、彼はバカであるがゆえにピュアな心が残っていたともいえるわけで、対するハンクは社会的にはまともな人間に見られていたけど、実は恐るべき冷酷さを持つ人間だったのだ。

いずれにしても、嘘に嘘を塗り固めてなんだかよくわからん状況になり、さらには人殺しまでしてライバルがいなくなったハンクだが、実はあの大金はすべてに札番号が控えられてて、使ったらすぐにFBIが知る所になるというのが判明する。ハンクは泣く泣く暖炉ですべて札を灰にして物語は終わり。あれだけたくさんの罪を犯してまで得ようとして頑張ったことは、すべて無駄だったのだ。彼には罪を犯した事実だけが残った。

そしてこの先、奥さんとも心を通わすことができない生活を、死ぬまで続けざるを得ないだろうことが示唆されて物語は終わる。うーむ、実にバカだ。バカすぎる。

出てくる人間がバカばっかりで、そもそも人があんなに死んでるのにハンクの証言ばっかり頼りにして捜査をちゃんとできない警察もどうかと思うし、セスナを発見できないFBI、さらには犯人を捕まえられないどころか、自分たちの立場に成りすまされちゃってるところが無能すぎ。しかもそれに気付けない地元の保安官もどうかしてるーーなどなど、よく考えてみると、突っ込みどころ満載なわけだが、ハンクとジェイコブの兄弟関係と、彼らに何らかの影響をおよぼしている、今は亡き父親の話などを見ていると、なかなかに人生の悲哀を感じられるし、必死こいて犯罪行為を成就させようともがいているハンクの姿は見ていてそれなりに面白かったな。

 

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