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映画『トライアングル』ネタバレ全開! 固有の存在は言えない

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『トライアングル』

タイムループもの。詳細を何も知らないで見るのがオススメ。この手の映画が好きな人にとっては、かなり楽しめると思う。満足できます。ということで、「自分の存在のことは言えない」という私的な疑問も絡めつつ、ネタバレします。 -2011年公開 英・豪 99分-

 

解説:豪華客船内で巻き起こるループする世界を描くシチュエーション・スリラー。監督は「0:34 レイジ34フン」のクリストファー・スミス。出演は「30デイズ・ナイト」のメリッサ・ジョージ、「デイブレイカー」のマイケル・ドーマン、『シティ・オン・ファイアー』のレイチェル・カーパニ。(KINENOTE)

あらすじ:友人に誘われ、ジェス(メリッサ・ジョージ)はヨットセーリングに行く。しかし、沖に出た途端、嵐に襲われヨットもろとも大海原へ投げ出されてしまう。命からがら助かった5人の前に、突然大型客船が現れ、船内を調べてみると、たった今まで人がいた形跡はあるが、なぜか人の姿が全く見えなかった。手分けして探索していると突然、覆面をした人物が現れ、抵抗する間もなく次々と命を奪われていく。ただ一人生き残り、甲板に逃げ出したジェスが見たものは、転覆したヨットから客船に向かって助けを求める自分たちの姿だった……。(KINENOTE)

監督:クリストファー・スミス
出演:メリッサ・ジョージ

ネタバレ全開でいきます。

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同じところをグルグル回り続けてます

まず結論から言うと、この主人公は本当はスタート時点から死んでいます。幽霊です。その状態で、円環状になった時間軸の中を何回も繰り返し行き来し続けている。この作品、同じシチュエーションを繰り返しループし続ける世界から、主人公が脱出しようとしている話なのです。

ラストのくだり、主人公は船から脱出して息子に会います。しかし、ループの世界からは脱出できていなかったことが、後にわかる。それは、あのひき殺した鳥を捨てにいくシーン。その後、息子と殺した自分(厳密には別のジェス)を乗せた車が事故りますね。あの事故現場を客観的に見ている主人公は、霊みたいな存在なのだ。タクシー運転手は、ループし続ける主人公をヨットハーバーに何度でも連れていく役どころであり、天使か悪魔か、冥界の使いか死神か、なんだかようわからんが、この世ならぬ者なのでありますな。

主人公は自閉症の息子を愛してはいるものの、彼の世話に辟易していたのである。そして虐待していたのである。彼女は息子を乗せた車を事故らせて、2人して死んでしまう。ところが、息子に対する罪の意識なのか、彼女は肉体を離れて霊のような存在になる。そして、ヨットに乗って嵐にあい、あの豪華客船のループの中で友人たちを殺すことを繰り返しながら、あの船にみんなが乗らないで済んだ世界の時間軸へ、脱出しようと試みるのだ。

しかし、それが何べんやってもうまくいかず、自分が延々とそれを繰り返していたことに気付く。そして再び、海に出ようとする――そういう話なのである。

永遠に苦行を続ける罪人の話

この物語の根底にあるのは、罪を犯した人間が繰り返し苦行を続けるという、ある神話だ。それは、飾られているアイオロス王の絵を見て、王の息子、シーシュポスについて話すくだりでわかる。以下、ウィキぺディアの引用です。

 

シーシュポスの岩

シーシュポスは神々を二度までも欺いた罰を受けることになった。彼はタルタロスで巨大な岩を山頂まで上げるよう命じられた(この岩はゼウスが姿を変えたときのものと同じ大きさといわれる)。シーシュポスがあと少しで山頂に届くというところまで岩を押し上げると、岩はその重みで底まで転がり落ちてしまい、この苦行が永遠に繰り返される。

 

シーシュポスが岩を山頂に繰り返し運び続けるように、主人公も繰り返し豪華客船にやってきて、殺人を犯しながら永遠に近い時間をループし続ける。あのシーンはこの作品がどういう内容なのかを説明するものだったのだ。

しばらくこのブログでたまに出てくる話をします

これらを踏まえて、個人的に感じたことを。以降、映画がスタートした時点でのメリッサ・ジョージ扮するジェス=主人公は、主人公と表記します。それ以外のジェスはジェス0~ジェス∞と表記します。この物語上(つまり映画のスタート時点)で最初のタイムループ? が始まった後、食堂みたいなところで主人公がジェス2と対峙する場面がある。あそこで、主人公は「これは私じゃない」みたいなことをつぶやきつつ、ジェス2にショットガンの銃口を向けます。

作品を見た方、どう思いましたか? もちろん「あれはジェス2で、主人公ではない」と思うでしょうね。そうですね。では、あの場に居合わせたジェイクはどう思ったでしょう。「どっちもジェスだ」と思うはずです。他人から見れば、2人は全く同じ人間なのです。でも本人たち、つまり主人公とジェス2は、それぞれの見分けがつきます。当たり前ですが。

でも、彼女たちの違い、どうやって他人に説明すればいいんでしょうかね。どうやって自分こそ本物だと証明すればいいのか。できないと思いませんか? そうです。できないんです。

彼女らは2人とも、自分が固有の、特別な存在と思っている。つまり本物だと思っている。いや、本物という表現は理解の妨げになるから、ジェスの記憶や性格などの性質に左右されずに内在されている、真の存在とでも言おうか。主人公とジェス2は、自分と相手の違いについて、そのことを言いたいのである。でも、言えない。

この物語では、主人公がなんとか誤解を解こうと友人たちを説得しようとしますが、殺人をしたのがジェス0なのに、友人たちは主人公を殺人鬼と見なすのです。話せばわかる! と主人公はいいますが、誰もわかっていません。わらからないんです。どっちでもいいんです。どっちも同じだから。つまり、あの豪華客船の中では、主人公もジェス0~∞も全て、友人たちにとってはただの殺人鬼なんですね。

俺は俺だ。おまえは俺じゃない!

でも、それはおかしいと思うでしょ? 主人公がきちんと誤解を解こうと頑張れば、自分が他のジェスとは違うのだとわかってもらえると思うでしょ? 確かに、できるかもしれない。あのループの世界では選択の仕方によっては近未来の出来事が変わるので、友人たちが主人公だけと何か共通の体験(そんなことができる機会があればだが)をすれば、主人公と他のジェスの違いを理解してもうらことができるのかも。

だけど、俺がいいたいのはそういうことではないんです。

主人公とジェス2はどちらも自分がジェスだと思ってます。でも、それはジェイクには区別できない。主人公とジェス2はどちらも自分のことを「ジェスだ」と主張します。「こいつは私ではない」といいます。ジェイクにはわからないけど、2人には明確に違いがあるんです。それは「これが、わたしだ。そいつじゃない」ということ。2人ともそう思っているはずです。当たり前ですよね。それが上述した真の存在ってこと。でも、その違いってどう説明すればいいんだ? 「私がジェスだ」だけではダメなんです。「これがわたし」というべきなんです。でも何なんですかね、これって。しかも、どちらも別のあり方をした、固有の真の存在なんですね。その違いは、言葉では言えないんです。伝えられないんです。でもなぜか、そういうものがあることを、実はみんな知っている。

この状況って、リアルな、俺らの生活でも同じじゃないですかね。自分のクローンにもドッペルゲンガーにも会わないけど、実は他者と自分との存在の仕方の違いって、それと同じなんですよ。すげぇ当たり前で、アホなこと言ってると思いますよね。実際、かなり当たり前でアホなこと言ってます。

だけどさ、何なの? おかしくない? なんで自分はこれなの? なんであいつじゃないの? おかしくね? どっちでもいいんだよ、本当は。なんでこんなことが起こるの? ということを言いたいのです。そんなん考えても仕方ないと思うだろうけど、考えちゃうんだから仕方がないのだ。

ということで、個人的にこの映画がすごいと思ったのは、上記のようなことを映像で示すことを意図はしてないんだろうけど、思い出させてくれること。

同じ話を以下でもしてます。

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おかしな部分はなくもないけど、かなり面白い!

ちなみに、おかしいなと思ったのは、友人たちは死なない限り次の自分は来ないんだけど、ジェス(主人公以外も)だけは何人でもあの客船の中で存在できるじゃないですか。そう考えると、死体が山積みになっているのはわかる。ペンダントが山積みになるのもわかる。同じシチュエーションがそんなに繰り返されるのだろうかという疑問はあるものの、まだわかる。

しかし変なのは、ショットガンの弾丸数である。あれは無限じゃないはずだ。独り占めしちゃえばよくないか? あと食堂のバナナ。腐乱死体(てほどでもなかったけど)があれだけあるってことは、時間もそこそこ経過しているはずなのに、なんで新鮮なままで食えるんだよ(笑)。実は、繰り返しの回数としてはまだまだ浅いのかもしれないねぇ。

友人たちはかなり気の毒ではある。とばっちりみたいなもんだから(笑)。

いずれにしても、かなり楽しく見れる映画でした!

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