映画『ラ・ラ・ランド』みんなで夢をかなえよう!

『ラ・ラ・ランド』(2017)アメリカ 128分

2017年4月までに公開される映画で見たい作品の一本だった本作について。ミュージカル苦手な人間でも見て面白いのか? 結論から言うと、面白かった。やっぱ映画館で見ると全然作品の印象って変わるわな。ということで、主に夢をかなえるってことについて語ります。

解説:「セッション」のデイミアン・チャゼル監督によるオリジナルミュージカル。女優を目指すミアは、場末のバーでピアノを弾いていたセバスチャンと出会う。惹かれ合う二人だが、セバスチャンが加入したバンドの人気が出るとともに二人の関係に暗雲が立ち込める。主演のライアン・ゴズリングとエマ・ストーンは「ラブ・アゲイン」「L.A. ギャング ストーリー」に続き3度目の共演。第73回ヴェネチア国際映画祭でオープニング上映され、エマ・ストーンが女優賞を受賞した。また、「セッション」に続きジャスティン・フルビッツが音楽を担当している。(KINENOTE)

あらすじ:アメリカ・ロサンゼルス。この街には、夢を追いかける人が各地から集まってくる。女優を目指すミア(エマ・ストーン)は映画スタジオのカフェで働きながらオーディションを受け続けているが、落ちてばかりだった。ある日、ふと立ち寄った場末のバーで、ピアノを弾いているセバスチャン(ライアン・ゴズリング)と出会う。彼の夢は、自分の店を持って思う存分本格的なジャズを演奏することだった。恋に落ち、互いに応援しあう二人。しかしセバスチャンが生活のために加入したバンドが売れ、二人の関係が変わってしまう。(以下略)(KINENOTE)

監督:デイミアン・チャゼル
出演:ライアン・ゴズリング/エマ・ストーン/J・K・シモンズ

ネタバレあり!

ともかくオープニング!

個人的にミュージカルって苦手。それは下記の投稿でも触れたのでいいとして、じゃあそういう人間が見てどうだったかって、面白かったす。特に冒頭のダンスシーン。あれだけでもういいやと思って、帰りたくなった(嘘)。

もちろん帰りません。帰りたいとか思うことなく楽しめたので。余談ですが、劇場ではたとえおしっこしたくなっても絶対我慢して最後まで見るのがポリシー(自慢にならん)。過去の経験では『トゥルーライズ』で膀胱破裂しそうになっても我慢して、エンドロールが始まったところでトイレに走ったら、実はエンドロールにも本編の続きがある系の映画だったことにガックリしたのは若き日のいい思い出だ。

ということで、冒頭のあれ。予告にもあったけど、まさかあのシーンは冒頭とは思ってなくて、びっくり。立川のシネマシティで極音上映で見れてよかったなと思った。この作品もそうだし、前の『マッドマックス 怒りのデス・ロード <ブラック&クローム>エディション』もそうだけど、映画館で作品を全身で浴びれることのよさを味わえるのはいいことだ。逆にこれ、家で見てたらたぶん、いい映画と思いこそすれ、さほど楽しめなかったかもしれない。

ここからはライアン・ゴズリング扮するセブとエマ・ストーン演じるミアの目指した、夢についてちょっと思うところを。以下、ネタバレします。

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夢をかなえるって大変ね

2人は最終的に夢をかなえたように見える。ラストの描き方は最初、夢オチに思わせておいて、あれはセブが奏でる音楽的時間の中で2人が共有したもう一つの可能世界のビジョンと解釈した。つまり2人はこの先は共に生きることはないものの、現実世界でそれぞれの夢をかなえたということがわかるシーンだと思う。

セブが夢見ていたのはセルアウトではなく、ジャズの本質(彼が思う)を体現できる店を持つこと。ミアは女優になること。2人はそれぞれの夢をかなえる。作品中ではその夢をかなえるための葛藤が描かれている部分があった。あそこはかなりリアルよね。芸術云々でなくても、今の世の中ってかなえたい夢が働くことと直結しちゃってる部分があるから。

振り返ると、セブはセルアウト方面にいこうと思えばいけた。でも、最終的には自分の求めた夢に戻ってくる。それがかなったのは、彼がセルアウトの世界を一度経験したからこそとも思える。そう思わないですか?

表現で何かを成したいなら、読んで損はない作品について

やはり夢をかなえるってのは、なかなかシビアで不条理で運が必要な世界だ。それを踏まえて紹介したいのは、表現の世界を夢見ている人たちにおすすめしたい書籍があるということ。それは、佐々木中という哲学者であり思想家であり作家の著書、『切りとれ、あの祈る手を──〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話』という作品だ。

この書籍についてはいずれ詳しく触れたい(別に佐々木中氏の信奉者ではないですが)。ともかく著者がこの書籍の中で表現活動について語っていることは、恐らく以下のようなことと俺は理解している。

曰く、表現で何かを成すことを自分の生きるたかが百年くらいのスパンで語るな。何かの表現作品に触れて、それに影響を受けてしまい、何かを始めずにいられなくなった人間は、その行為に懸けろ―ーということを言っている。続けろと言っている。自分が生きている時代に自分の表現が認められなかったとしても。

それほどに何かを表現する、発信する行為は、いつ誰の心に届くのかわからぬもので、それでも自分がやろうと、やり遂げようとし続ける行為は狂気をはらむものなのだ。だからこそ、その狂気とも言える情熱によってものされた作品には強度がある。触れてしまう、触れてしまった人の心に楔を打ち込むのだと。その狂気とも言える行為によって完成したものこそ、百年どころか何千年も語り継がれる作として残るものなのだ。

一代で何かを成して名声を得るためにどうこうではなく、ただ、自分が何かの作に触れて感動した衝動を外に吐き出すために、人生を賭してやり続ける、やり続けなければいけないサガを持った人々に対して、その行為を賞賛して共に続けようと鼓舞している著作が、『切りとれ、あの祈る手を──〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話』である。

数ある芸術や表現作品は、それを受容してしまい、そして影響を受けてしまった人にとっては、自分を突き動かす、人生を変える何かをはらんでいて、そうした自分の中にはらまれた何かこそが、外に向けて情熱を吐き出そうとする行為に変換される。その変換のエネルギーが、社会を変革するパワーの源となるのだということ。そんなことを語った書籍なのである。

『ラ・ラ・ランド』を見て、佐々木氏の著作のことをこのように思い出した。だから、この映画において2人が夢を成就したことについては、けっこう簡単にかなっちゃうんだなぁと思って少し不満。

あと、もう一つ。夢をかなえることについては俺がとても好きな作家の、筒井康隆さんが言っていることがある。でもこれはまた別の投稿の機会で。個人的には筒井氏の言が本当にその通りだったなということを、俺は社会人になってから実感することがあって…とかはもういいですね。いずれ機会があれば。先に書けよな、そっちを(笑)。

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