映画 17歳のカルテ ネタバレ感想 精神病院での青春物語

17歳のカルテ

自分と向き合えず、他人ともうまく接することができない、アンビバレントな少女の成長物語。主人公は、精神病院での生活に拒否反応を示すものの、同年代の患者たちと少しずつ打ち解けて、自分自身を見つめなおす力を得ていく。ネタバレあり。

―2000年公開 米 127分―

解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:60年代末、多感な少女が精神病院で体験した心の葛藤と友情の物語。監督は「コップランド」のジェームズ・マンゴールド。脚本はスザンナ・ケイセンの原作を基にジェームズ・マンゴールド、リサ・ルーマー、アナ・ハミルトン・フェランが執筆。撮影は「トゥルー・クライム」のジャック・N・グリーン。音楽は「フェリシアの旅」のマイケル・ダナ。出演は「オータム・イン・ニューヨーク」のウィノナ・ライダー(製作総指揮も)、「60セカンズ」のアンジェリーナ・ジョリー他。(KINENOTE)

あらすじ:大学に進学しないのは自分だけ、世間体を気にする両親にも理解されない17歳のスザンナ(ウィノナ・ライダー)は、多量のアスピリンとウォッカを摂取したことで精神病院に入院。顔にやけどを負った子、鶏肉と下剤しか口にしない子、病的な嘘つきなど様々な少女たちがいる。就寝時や入浴時など、常時厳しい監視下をかいくぐり、深夜、少女たちは患者のリーダー格リサ(アンジェリーナ・ジョリー)を中心に、自分のカルテを盗み見たり、遊んだりしていた。ある日、リサから脱走を持ちかけられたスザンナは既に退院した少女の家に身を寄せることになった。だがリサは退院した少女が父親と性的関係を持っているとなじり、彼女を自殺に追い込んだ。人の死を前に何もできなかった自分に涙を流すスザンナは、それ以降自分の気持ちを日記にしたため、精神科医や看護婦に思いを打ち明けるようになった。脱走中のリサと離れて安らぎすら覚えるようになったスザンナはいよいよ退院する運びとなり、リサに別れを告げる。だがその晩、リサは他の少女たちの前でスザンナの日記を読み上げ、仲間のことをを書いたことで彼女を責めたてる。スザンナは、リサの心は冷えきっていて、既に死んでいると言い放つ。翌朝、手足をベッドに縛り付けられたリサは、退院するスザンナに私は死んでいないと涙ながらにつぶやくのだった。(KINENOTE)

監督:ジェームズ・マンゴールド
原作:スザンナ・ケイセン
出演:ウィノナ・ライダー/アンジェリーナ・ジョリー/クレア・デュヴァル/ブリタニー・マーフィ/ジャレッド・レト/ウーピー・ゴールドバーグ

ネタバレ感想

この物語の原作者はスザンナ・ケイセンというらしい。主人公と名前が同じ。ということは、自分の体験が基になっているのだろうか、それともフィクションなのか。どっちでもいいと言えばいいんだけども、少し気になった。というのも、体験を基にしてるのであれば、物語の舞台である1960年代の精神病院の状況を知る一助になるからだ。

そんなもん知ってどうするんだと言われると確かにそうなんだが、俺はこういう精神病院に縁のない生活をできているんだけども、こうした院内についてどのような内情なのかには多少の興味がある。それは個人的な話なのでここでは触れないけども。20代のニートの頃に観て以来、2度目の鑑賞。

初見のときは酒に酔った状態だったせいか、当時の精神状態のせいか、アンジェリーナ・ジョリー=リサがウィノナ・ライダー=スザンナを追い詰めるようなことをして彼女の反撃にあい、逆に打ちひしがれちゃうシーンでメチャクチャ泣いたのを覚えている(笑)。

あらためて鑑賞してみたところ、自分が変わったからなのか、当時、単に酒に酔ってただけだからなのかわからないくらい、そのシーンについてさしたる感慨はわかなかったのである。何なんだろうね。

いずれにせよ、作品内で言及されるようにスザンナは自分と向き合い、自分の内面のドロドロを外の世界に出す勇気がないから病気扱いされていて、境界性なんとかという病名をつけられて外に出られなくなってまう。

でも、あれってどこが病気なのだろうかという感じもしなくもない。実際に医師たちも彼女が自分の内面を吐露する勇気を持てるように導こうとするだけで、病人扱いしているようにはあまり見えない。

でも、そうだとすると、ああやって毎日のように薬を飲ませている行為に違和感をおぼえる。だって、他の患者と比べると、あまり病気には見えないからだ。

洞察力があるのか、言葉で人の心を追い詰めることができるリサも、奇行はあるものの、普通の女性に見えなくもない。むしろ、仲間思いのいい奴でもある。

ただ、自分が外に出られないからか、退院が決まった相手に対しては容赦なく攻撃をしてしまうんだけども、それは極端な嫉妬心みたいなもんではないか。相手を自分の配下のようにコントロールしたがる人間なんて、それこそ世の中にいっぱいいそうなもんだけど。

ともかく、こういう場所に詰め込まれざるを得ない人たちは、成長環境が不幸なんだろうなということはわかる。

仕事を通じて聞いた話だが、子ども時代に両親から自分の存在を肯定され、愛情を注がれて育てられないと、自己肯定感が薄い人間になってしまうらしい。

自分の存在を肯定されるというのは、容姿がかわいいとか、そういうことでなく、自分そのものが生きていることを愛でてもらえるということだ。

子どもは生まれてくる親を選べないので、その生まれた環境によっては不幸な生い立ちを送ることになる。この物語で入院している女の子たちは、それぞれに暗い過去を持っている人たちであり、明るい人生を送ってきていない。

つまり、彼女らが心の病に犯されているのだとしたら、それは親にも原因があるのだ。もしくは、最初から育てる親がいなかったか。

主演の二人以外にもクレア・デュバルやブリタニー・マーフィ、ウーピー・ゴールドバーグ、ジャレット・レトなども出てて、なかなか豪華な作品です。

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